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「チコちゃんに叱られる!」のはNHKか、日本郵政か? (2-2)
18年10月になって日本郵政からNHKの経営委員会に対して、NHKのガバナンス体制を検証するよう求める文書が送られた。石原進経営委員長は番組幹部の発言に誤りがあるとして上田良一会長を注意、翌11月に上田会長から番組幹部の説明が不十分だとする謝罪文書が、日本郵政に送られている。
【前回は】「チコちゃんに叱られる!」のはNHKか、日本郵政か? (2-1)
抗議は番組の内容に関するものではなく、その際の言葉のやり取りを取り上げるという、揚げ足取りみたいなものだ。そんな大雑把な抗議に白旗を上げたNHKと経営委員会の姿勢に、大きな疑問が投げ掛けられている。
日本郵政の長門正貢社長も話題の「クローズアップ現代+」という番組について、7月30日の記者会見で「アンフェアに感じた」「郵政グループを悪の権化と報道していると感じ続編の制作に抗議した」と当時の心境を語ったうえで、「深く反省している」「番組はその通りだった」と語った。
かんぽ生命保険と日本郵便で行われていた不適切販売の中間報告が9月30日に行われ、不正の疑いが見込まれる18万3千件のうち調査が終了したのは6万6千件と公表された。この中に保険業法違反や社内規定違反など、不適切販売の懸念がある契約が6千300件あるという。どこまでふくれ上がるか不明だが、調査は年内に最終報告をまとめるため現在も進行中だ。
日本郵政は鈴木康雄上級副社長名で18年10月に、NHKの経営委員会にガバナンス体制の検証を求めて送った抗議文の中で、「・・・かつて放送行政に携わり、協会のガバナンス強化を目的とする放送法改正案の作成責任者であった立場から・・・」と自身が総務省の元事務次官だったことを、巧みに織り交ぜながらNHKに謝罪を求めている。
例えば、国家公務員法の再就職等規制では、利害関係企業への求職活動を規制し、利害関係企業は「許認可等を受けて事業を行い、又は行おうとしている営利企業等」と定義されている。
天下り問題に触れるまでもなく、総務省出身の鈴木上級副社長は、NHKにとって煙たい存在だろう。背後にチラつく総務省の影がNHK関係者の脳裏をよぎり、忖度(そんたく)の思いを交えて謝罪を選択しただろうことは、容易に想像できる。優越的地位の濫用とまでは言えなくとも、優越的地位を十分に活用した巧妙な抗議と言えるだろう。
鈴木氏は日本郵政の上級副社長だ。上級というポストがあるのなら上級じゃない副社長がいるのかと思って日本郵政のHPを確認したが、社長と上級副社長以外はみんな横並びの取締役だった。敢えて上級としなくとも副社長のままでナンバー2と認められるはずだが、色々な思惑が渦巻いて”上級”としたのだろう。
言葉尻にこだわって、「犯罪的な営業活動」について一言もない鈴木上級副社長は、NHKの石原経営委員長と上田会長、日本郵便の横山邦男社長らと共に10日と11日の両日、衆議院の予算委員会に参考人招致されることになった。
チコちゃんなら”上級のすぐ下のポストはなにかな?”ぐらいの質問を投げかけて来るかも知れない!(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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