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関西電力を巡る多額の金品贈与問題が、社会の注目を集めている。求めてもいないのに多額の金品を贈られ、返却しようとすると逆切れして「俺を軽く見るなよ!」、と恫喝されたというのだから、一般的な理解を超えている。
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理解できないから「本当なのか?」という疑問が生じるのが当然だが、11年から18年までの8年間に、20名の役職員に対して3.2億円もの贈与が行われたという。11年は東日本大震災が発生し、東京電力の福島第一原子力発電所に甚大な被害が発生した時期と重なる。
本人が亡くなっているので、森山栄治元助役がどんな思惑で金品の贈与を始めたのかを知るすべはないが、返却しようとしたところ逆鱗に触れて心を病んだり、退職に追い込まれた職員すら存在するというのだから常軌を逸している。
人口約1万人の福井県高浜町で原発が稼働したのは、1970年代にさかのぼる。森山元助役は69年から高浜町役場で勤務を始め、75年に収入役、77年から87年まで助役の地位にあった。原発の稼働時期と森山元助役が高浜町役場で勤務を始めた時期が、微妙にリンクしている。
現在報道されている特異な性格を考えると、助役に就任した77年前後から11年までの34年間にも同様の行為があった可能性すら考えられるが、まだ8年間のことすら表面化したばかりである。加えて、工事業者からの贈与が続報されている状況であり、全容の把握にはまだ暫くの時間が必要となるだろう。
報道に接して感じるのは、森山元助役と関電関係者(役員がほとんどなのに)との、力関係の圧倒的なギャップである。
昔から電力会社の役員は電力供給という社会のインフラを支えているというプライドと、周囲の畏敬を受けて一段上の存在だった。東日本大震災や北海道のブラックアウトという電力事故が続いているため、ややステータスに陰りは見られても、第一級であることに変わりはないだろう。
ところが原発という存在が介在してくると、大分様子が変わってくる。関電でも原発立地自治体の権力者然として振舞う森山元助役の機嫌を、損ねたくないという意識が組織に浸透していたようだ。森山元助役にへそを曲げられて、国家のエネルギー政策に枢要な位置を占める原子力発電所の稼働に支障が生じては元も子もない。
組織のヒエラルキーの中で、”トラブル発生の元凶”と名指しされるような事態になれば、将来はないと考えるのが当然だ。良くも悪くも上司に報告・連絡・相談して、指示を受けることが保険のようなものだ。結果としてはみんな横並びの対応となる。
ところが、理不尽な圧力に弱いのは関電だけではない。関電のニュースを盛んに報道しているNHKは、18年に日本郵政グループから理不尽な抗議を受けて、あっさりと白旗を上げている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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