コラム【アナリスト夜話】:トランプ氏の中国投資禁止案の現実味(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

2019年10月2日 09:13

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記事提供元:フィスコ


*09:13JST コラム【アナリスト夜話】:トランプ氏の中国投資禁止案の現実味(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)
先日久々に会った友人が、新しいビジネスを始めました。羨ましくもあり、創業までの道のりを尋ねたところ、「中国の情熱に救われた」と、苦労話を始めました。

彼女の新ビジネスは最先端の歯科矯正関係で、機材に少々工夫が必要。そこで、まずは日本の専門企業に製作を依頼したところ、「ここもここも難しい」と、作れない理由を列挙されたそうです。そこで米国の会社に当たったところ、費用対効果を精緻に分析され、「あなたの機材の優先順位は12番目と審査されたので、完成は2年後です」とつれない返事だとのこと。

それでもめげずに中国の中堅企業に乗り込んだところ、創業社長が、「面白いので、ぜひ作らせてくれ」と言って、彼女の短い滞在期間中に、試作品を、しかも彼女の会社の名前まで彫って持ってきたそうです。日本の高度成長期のような情熱と野心を感じる話です。

折しも、この週末、トランプ大統領が、中国企業の米国上場廃止や、年金による中国への投資の禁止を検討していると報じられました。実は今年6月に米議会からも、開示が少ない中国等の外資企業に向け、一層の情報開示ができなければ上場を廃止するという法案が出されていました。突飛なようでいて、案外早く現実になるかもしれません。

しかしこれは、中国企業だけでなく、中国の成長を享受する機会を取り上げてしまうという意味で、米国民にとってもマイナスです。週末の米市場ではアリババを始め中国企業の株式が売られましたが、資金の調達先は米国には限りません。中長期的にみれば、成長企業にはお金はついてくるでしょう。

幸い日本で同様の投資制限がかけられる可能性は殆どないでしょう。中国だけでなく、世界中の情熱のある企業を丁寧に発掘していきたいものです。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:9/30配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)《HH》

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