地球から200万光年の彼方にある銀河M31が見頃 都会でも双眼鏡で観望可能

2019年9月25日 09:01

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M31(アンドロメダ銀河)

M31(アンドロメダ銀河)[写真拡大]

 M31と聞いて、それがなんであるかイメージできる人は相当の天文マニアかもしれない。このM31は、都会でも小さな双眼鏡を使えば見ることができる唯一の銀河である。

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 もったいぶらないでM31の正体を明かしておこう。かの有名なアンドロメダ座の大星雲である。銀河の中では我々の銀河系のすぐ隣にいる大マゼラン雲、小マゼラン雲の次に地球に近い。といっても光の速さで飛び続けて200万年もかかる場所にある。

 アンドロメダ座という星座名を聞いたことのある人は多いが、形まで認識している人は少ないだろう。その理由は星占いに出てくる12星座に入っていないからである。

 ということで名前だけは有名だが、その実態があまり知られていないアンドロメダ座の大星雲を今日は紹介する。

 天文入門書では、アンドロメダ座の大星雲は肉眼ではっきりと見えると紹介されていることが多いが、それは光害の少ない場所で、しかも星についての知識をかなり持っている人ならばという条件が付き、そう簡単には見ることができない。なぜならば4.4等星とさほど明るくないためである。都会の明るい夜空であれば肉眼で見えるのは2等星がせいぜいだろう。4等星ともなれば絶望的である。

 したがって、都会に住む一般の人は、見ることも全くかなわない存在だと思い込んでも仕方がないかもしれない。しかし、位置さえわかれば小さな双眼鏡で確実に見ることができる。

 幸いにしてアンドロメダ座を構成している星には3つの2等星があるため、それを頼りにしてM31を双眼鏡で見つける方法を伝授する。まずその前に双眼鏡を用意しよう。口径はさほど大きくなくても良いが、25mm以上あれば見やすいだろう。逆に口径が大きすぎて重たいものは手ブレが大きくなり視野が安定しないため、天体を探すのにはあまり向かない。また倍率もなるべく小さいものが良い。理由はなるべく広い視野を確保したほうが、狙った天体を探し出しやすいからである。

 アンドロメダ座のα星、β星、γ星は2等星でほぼ等間隔に並んでいる。この3つ並んだ2等星のちょうど真ん中にあるのがβ星である。この星からカシオペア座のw字の右上にある頂点の星のほうに視点を少しずつそらしてゆこう。視野の中に比較的明るい星が2つ見える。この2つ目の星の周りを慎重に探すと、蚕の繭のような天体がぼやっと見えてくるはずである。これこそがM31である。

 都会から双眼鏡でとらえることのできるM31は、大望遠鏡でとらえた壮大な写真の中心部の明るいごくわずかな部分である。とは言え双眼鏡でも銀河であることが都会ではっきり確認できるから感動する。目の前に広がっている世界は200万年前の銀河の世界なのである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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