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消費増税迫る! (3-1) 軽減税率と負担緩和措置、ポイント還元制度の概要
消費増税まであと僅かだ。2014年4月に5%から8%に引き上げられた際に、国内の景気減速を経験するという学習効果があったためか、2度の延期を余儀なくされてきたが、いよいよ5年半振りに税率が改定されて、消費税が10%へと引き上げになる。
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今回の消費増税では「軽減税率」という例外が誕生する。酒類を除いた飲食料品と定期購読の新聞が軽減税率の対象となり8%に据え置かれる。それ以外は「標準課税」が適用になり10%が課税される。
消費税が3%で初めて導入されたのは1989年4月の竹下内閣の時代、その後1997年には5%に引き上げされた。続く民主党政権時代を経て、2014年の安倍内閣で8%に引き上げられた。
消費税は創設以来30年の年月を経て10%の大台に辿り着くことになるが、今までの経験では消費増税直前の消費拡大と、消費増税後の消費低迷という激しい消費動向の増減を経験したため、今回の消費増税に当たっては細心の配慮がされたようだ。
飲食料品(酒類を除く)に軽減税率を適用して8%のまま据え置くことは有り難いが、外食する場合には10%の税率が適用にるため複雑になった。例えば、自宅に持ち帰る(テイクアウト)場合には軽減税率が適用になる。コンビニなどでのイートインやレストラン・料理店での飲食の場合には10%の税率が適用になる。
ピザや寿司の出前は8%で、ケータリング・出張料理などは10%だ。ケータリングや出張料理は直接、人が調理を行うという点で外食に相当するという仕分けのようだが、正直言って相当複雑だ。一瞬「考える」という動作が、時折必要になるだろう。
次に「負担緩和措置」が行われる。低所得者層にはプレミアム付き商品券を発行するほか、自動車税の軽減や住宅ローン減税の拡充、すまい給付金の拡充と1300億円の次世代住宅ポイントの導入、年金生活者支援給付金の支給、幼児教育・保育の無償化、大学の無償化など数多く、負担を緩和するための措置が実施される(すでに始まっているものもある)。該当者は漏らさず恩恵を受けて欲しい。
最大の注目は、キャッシュレス決済の利用拡大と中小企業の小売店や食堂、宿泊施設の振興を強く意識したポイント還元策だ。中小小売店や食堂、宿泊施設でキャッシュレス決済を利用した場合には5%がポイント還元される。消費税の増税分が3%なのに対して5%が還元されるため、差引2%お得になるということだ。
今までの消費増税時のように増税前に駆け込み消費で生活防衛をする必要がない。10月1日以降にキャッシュレス決済を利用して、5%のポイント還元を受けるべきだろう。大企業系列のコンビニ・レストラン・ガソリンスタンドなどは2%がポイント還元され、増税分がポイント還元されるため実質的な負担は変わりない。
まとめると、中小企業の小売店・飲食店・宿泊施設での利用には5%、大企業系列のコンビニ・レストラン・ガソリンスタンドなどの利用には2%のポイント還元が、19年10月から20年6月までの期間限定にて行われる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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