患者の歩き方で病気を診断 歩行分析のデジタル化技術を富士通が開発

2019年9月19日 10:37

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開発された歩行特徴デジタル化技術のイメージ(画像:富士通の発表資料より)

開発された歩行特徴デジタル化技術のイメージ(画像:富士通の発表資料より)[写真拡大]

 富士通(東京都港区)は18日、疾病の影響による歩行の異常を脚に取り付けたセンサーで判断する技術を開発したと発表した。医療現場では理学療法士が患者の歩き方を観察して、疾病の種類や回復の状況などを判断することがあるが、歩き方の特徴を機器で測定することが難しく、理学療法士の目視に頼っているのが実情。富士通では、開発した技術を使えば、複数の歩行の特徴を人の経験などに頼らず高精度で把握できるとしている。

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 脳梗塞やパーキンソン病などの脳や血管の病気のほか、骨や筋肉の障害によって、ふらつきやしびれが出て特徴な歩き方になることが知られており、そうした歩行障害によって病気が見つかることがある。また、リハビリテーションを行う際も、歩き方をみて疾病の程度や回復具合を判断することがあるという。

 しかし、そうした歩行への影響の出方は、疾病の種類や症状の程度、障害のある部位などによって大きく異なり、機器などで歩き方を認識して診断に活用することが難しかった。

 富士通が開発したのは、歩行特徴デジタル化技術「FUJITSU KIDUKU Walking Engine(富士通キヅク ウォーキングエンジン)」。患者の左右の足首にジャイロセンサーを装着し、センサーから送られる信号を元に、かかとが着地するときやつま先が地面から離れるときなどを認識。これらを計測することで、歩幅や歩く速さなどを分析する。

 同社では、この技術を使い小刻み歩行やすり足歩行といった歩行異常を含むさまざまな歩き方を分析。高い精度で歩き方の特徴を把握できることを確認した。

 今後、同社では回復過程の記録や、離れた場所から在宅患者のモニタリングなどができるよう、さらに技術開発を進め、医療現場での実用化を目指す。

 富士通では、これまでもセンサーを使って運動機能の異常を発見する技術に取り組んでおり、2015年には家の中に設置した固定センサーと本人が身につけたセンサーからの情報を元に、ドアを開けたり歩いたりする際の運動機能の異常を検出する技術を開発している。

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