マツダのEV戦略 「Well-to-Wheel」は電動化否定ではない ディーゼルはバイオ燃料へ

2019年9月8日 07:33

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「SKYACTIV-X」(画像: マツダの発表資料より)

「SKYACTIV-X」(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 「Well-to-Wheel」、つまり「燃料採掘から車両走行まで」がテーマでないとCO2削減は実現できない。これまでの中国市場のように、単に自動車をEVにしても、EVを作る工程で効率の悪い石炭火力発電などを使用すると逆効果となってしまうのだ。北欧ノルウェーでは水力発電が主力であるように、再生可能エネルギーによる発電が多い地域ならEVにすると効果が出る。

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 2019年6月、「Well-to-Wheel」により評価するため、経産省は乗用車の新たな燃費基準値等を発表した。ガソリン自動車等とEV・HVなどを比較可能とするため、エネルギー消費効率(燃費値)の算定方法を改める方針を示している。ヨーロッパでも必ずしもEVだけとは考えていない。

 マツダの環境対策エンジンと言えば、『マツダ3』に搭載した「SKYACTIV-Xエンジン」が始まりで、これからも中心の技術はエンジンに変わりはないが、マツダはこれに電動化技術を加えていくという。それは「回生ブレーキ」などのように、運動エネルギー回生や熱エネルギー回生技術を取り入れていくと、モーターとバッテリーを組み合わせた電動化技術が欠かせないからだ。

 マツダは、スーパーリーンバーン(超希燃焼)技術でガソリンエンジンを改良していくと共に、ディーゼルエンジンも2020年には次のステップに向かって新エンジンを加えていくという。ディーゼルエンジンについては、燃焼システムにより改良していくのは半分で、残り半分はバイオ燃料を使用していくようだ。天ぷら油やミドリムシを燃料とする取り組みが始まっている。

 マツダはEVに関してもコモンアーキテクチャーを取り入れ、軽自動車から乗用車、トラックまで一括で基礎技術を開発。製品開発においては一括でEV基盤技術をサプライヤーと共に企画開発し、共通のプラットフォームを含めて基本構造を作り、生産現場での共通化を図って、複数の車種をバリエーションとして製造していける体制を目指している。

 第4次産業革命の時代のネット受注も見据えて、世界の生産拠点の平準化を進め、スイング生産、順序生産を可能としていくはずだ。この効果が出始めても良いころなのだが、マツダは利益率の低迷に苦しんでいる。

 トヨタとの協力体制により電動化技術をトヨタからも取り入れ、早い時期に「Well-to-Wheel」を踏まえて、世界の各地域にフィットするシステムを効率よく生産できる体制の完成を期待したい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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