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地球がもっとも温暖だった時期のメカニズムを解明 米・蘭大学の共同研究
南大西洋深海の地質調査のためにハワイを出発する深海掘削船「JOIDES・リゾリューション」(c) International Ocean Discovery Program[写真拡大]
地球温暖化が問題視される昨今。地球はかつて、現在の赤道周辺部よりもはるかに高温な時代が存在した。約5,600万年前の始新世に、突発的な温暖化(PETM)が発生した。米ハワイ大学と蘭ユトレヒト大学から構成される研究グループは、PETMが発生したメカニズムを地質情報から明らかにした。
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■ほ乳類に恩恵を与えた極端な温度上昇
PETM(Paleocene-Eocene Thermal Maximum)は、数千年のあいだに発生した約5度の急激な温度上昇のことだ。PETMにより、極地からすべての氷が消失し、海産生物は死滅したと予想されるその一方で、ほ乳類等の動物には恩恵が与えられた。これらの動物は千年のあいだに急速に拡散、多様化していった。
PETMが発生したのは温室効果ガスの影響ではなく、地球の公転軌道の変化によると考えられる。だがその発生した事象を知ることは、現在起きている地球温暖化が生物に及ぼす影響を考察するうえでの指標となる。
■深海の堆積物から判明する地球の軌道
地球は楕円形の公転軌道を描く。楕円の歪みを表す離心率は、地球上の気候とも大きな関連性がある。研究グループは、PETMにおける地球が描く楕円軌道の離心率の変化を確認するために、南大西洋から堆積物コアを活用した。堆積物のパターンを調査することで、地球が描く楕円軌道の離心率が明らかになるという。
研究グループによる調査の結果、5,600万年前に急激な温度上昇が発生し、地球軌道の離心率が最大に近くなったことが判明した。離心率が極端な軌道の場合、太陽からの放射が地球に大量に届くことが示唆される。
PETMが発生する直前でも地球の気候はすでに温暖化していたが、地球の軌道の偏りが急激な温度上昇の引き金になったものと考えられる。研究グループによると、地球の熱帯化は予想よりもはるかに長期間で、17万年にも及んだという。
研究の成果は、米Science誌にて8月30日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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