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NYの視点:今週の注目:米国の対中関税、米8月雇用統計、パウエルFRB議長
*07:38JST NYの視点:今週の注目:米国の対中関税、米8月雇用統計、パウエルFRB議長
投資家や投機家の持ち高を示す週次統計で、円の買い持ち高は前々週からさらに増加し、前々週に続き2016年11月来の高水準を更新した。市場が円の買い持ちに傾斜しているため、円の上昇も限定的か。
今週もリスクは米中貿易、香港情勢、英国の欧州連合(EU)離脱、イタリア財政・政局不安が存続する。
米国政府は1日から対中1100億ドル中国輸入品に15%関税を発動する計画。米中は交渉で譲歩する姿勢を見せており、土壇場で関税が延期される可能性も残る。9月に発動される関税では農業関連製品、衣料、靴などが対象となる。関税の影響で中国8月製造業PMIは4カ月連続で50を割り込み、活動の縮小を示す見込み。
香港では先週末に計画されていた香港・中国政府に対する大規模な抗議デモは中国軍の介入の恐れなどから、正式には中止された。しかし、一部では非公式な抗議デモが断行される可能性も懸念される。米中貿易交渉にも影響を与える可能性もあるだけに動向に注目が集まる。
米国の9月の利下げ観測が強まる中、政策金利判断に重要となる指標が多く発表予定となっている。米金利先物市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げに踏み切ることを100%織り込んだ。最新8月のコアPCEも依然FOMCのインフレ目標である2%を7カ月連続で割り込んだままで追加利下げを正当化する。FRBは政策判断の材料となる最新の地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表予定。全米地区の成長は継続したと見られるが、物価、雇用に関する判断や関税への見方に注目が集まる。
コンファレンスボードが発表した8月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は予想外に3年ぶり低水準に下方修正されたほか、3人に1人の割合で関税に懸念を抱いていることも明らかになった。一方で、強い雇用や賃金の上昇で、経済への自信を消費者が依然維持していることも明らかになった。
そのほか、全米の製造業動向を示す8月ISM製造業景況指数や消費動向を判断するために8月ISM非製造業指数、8月雇用統計の結果に注目。
パウエルFRB議長のスイス、チューリッヒでの経済見通しに関する講演で9月の追加利下げの可能性をさらに探る。失業率が過去50年間で最低水準を維持するなど雇用市場は強くまた、米国経済も2%成長を維持している。一方、米30年債利回りが2%を割り込み、長短金利差の逆転が続き、米国経済が近く景気後退(リセッション)入りするとの警戒感も根強い。前NY連銀総裁のダドリー総裁は「FRBはトランプ政権の貿易戦争を支援すべく利下げをすべきではない」と主張。貿易で不透明感が存続、世界経済が一段と悪化する兆候を示す一方で、米国経済は順調に成長している中、パウエル議長は金融政策で難しいかじ取りに直面している。
■今週の主な注目イベント
●米国
9月
1日:対中1120億ドルの中国輸入品に15%関税発動
3日:8月ISM製造業景況指数:予想51.2(7月51.2)、
ローゼングレン・ボストン連銀総裁が講演
4日:7月貿易収支:予想‐534億ドル(6月−552億ドル)、
米連邦準備制度理事会(FRB)が地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表、エバンス・シカゴ連銀総裁講演、
ウィリアムズ米NY連銀総裁がNYで講演、
ボウマンFRB理事とブラード・セントルイス連銀総裁が「FED Listens」イベントに参加、
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁がタウンホールミーティング
5日:8月ISM非製造業指数:予想54.0、7月53.7
6日:米8月雇用統計:失業率:予想3.7%、
非農業部門雇用者数:予想+16.5万人、
平均時給:予想前月比+0.3%、前年比+3.0%(7月+0.3%、+3.2%)、
パウエルFRB議長がスイス、チューリッヒで経済見通しに関して講演
●中国
31日:8月製造業PMI:予想49.6(7月49.7)、
非製造業PMI:予想53.7(7月53.7)9月
2日:8月Caixin(財新)製造業購買担当者景気指数(PMI):予想49.8(7月49.9)、
非製造業PMI:予想51.7(7月51.6)
●欧州
1日:ドイツ地方選、サクソニー州、ブランデンブルグ州、
メルケル首相率いるCDU、SPD連立政権に対抗
6日:ドイツ7月鉱工業生産
●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
香港《CS》
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