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日本人の酒離れ止まらず 国内酒類は縮小傾向、軽減率なき消費税で打撃か
矢野経済研究所が酒類市場動向を調査。2018年度の出荷額は3.5兆円、前年比98.6%、縮小傾向続く。ビールが大幅減、焼酎・清酒等も減少基調。回復兆しなし。軽減税率無き消費税増税で大打撃の可能性も。[写真拡大]
日本人の酒類離れが止まらない。成人人口は増え続けているにもかかわらず、業界の出荷統計、政府の消費統計を見ても酒類の出荷・消費は減少傾向で推移し続けている。1人当たり消費量で見ると1992年の101.8Lをピークにバブル崩壊のような鋭角の減少で推移し08年からは横ばいに落ち着いたとは言うものの趨勢的には緩やかな減少に歯止めがかかっていない。一説には若者の酒類離れという説もあるが、発泡酒の登場でビール類の価格は低下傾向にもかかわらず酒類市場全体の3割を占めるビール類で落ち込みが続いている。
先月16日、矢野経済研究所が酒類市場の調査レポートを公表。レポートによれば、18年度の酒類市場のメーカー出荷額は3兆5100億円の見込みで前年度比98.6%と減少し、緩やかながら縮小傾向を未だ維持し続け、底打ちの兆しもみられない状況だ。
酒類市場の3割を占めるビール類については、17年6月に取引基準の改正があり店頭販売価格が上昇しビール類からより安価な低アルコール飲料などへ需要が流出し、また18年の夏は記録的な猛暑であったが、業務用チャネルを中心に需要がふるわなかったことも縮小要因となったとレポートでは指摘している。ビール類以外の清酒や焼酎などついてもマイナス基調で推移しており底打ち・回復の可能性は今のところ見られない。
今後の見通しについては、人口減少に加え若年層を中心とした酒離れが進んでいる中で、90年代から続く長期的な縮小傾向に今後変化が起こる可能性はないとレポートでは見ている。さらに10月には消費税率の引き上げが予定されているが、酒類は軽減税率が適用されないため増税後の緊縮ムードの中で節約の対象になる可能性は大きく、増税後の落ち込みは一段と強まると予測される。
メーカー各社でもこの点は織り込み済みで、こうした状況への対応として新ジャンル開発へも力を入れている模様だ。メーカー各社では26年までに段階的に酒税が一本化されることをにらみクラフトビールを中心にビールの再強化にも力を入れており、当面はビールと新ジャンルの両面で強化策が実施される模様だ。
これに加え清酒を中心に海外での和食ブームに合わせ海外市場の拡大にも注力しており、国内で低迷する清酒の18年の輸出額は222億円に達し、前年比119.0%の大きな伸びとなっている。輸出先の3割は米国だが、これに次いで中国、韓国、台湾などの東アジアでインバウンドの効果とも相まって出荷量を拡大している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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