死の惑星からの電波より探る太陽と地球の未来 英大学の研究

2019年8月12日 16:09

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 太陽は50億から60億年後には、現在の数百倍以上の大きさの「赤色巨星」へと拡大する。水星や金星だけでなく、地球をも飲み込む可能性がある。このような惑星の「死」を迎えたのち、残滓が存続するのかについては不明な点が多い。英ウォーリック大学は6日、死の惑星が存在する可能性のある白色矮星の探索計画を発表した。

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■赤色巨星から白色矮星への進化

 恒星の内部では核融合反応が起こるとヘリウムの量が増加し、水素から構成される外層が膨らむ。これが赤色巨星と呼ばれる天体だ。外層は星の中心から遠いため、重力は強くない。このため外層が重力の呪縛を逃れ、宇宙空間へと流れだす。外層が剥がれた核は「白色矮星」と呼ばれ、数十億年輝くと予想される。

 赤色巨星は近傍の惑星を飲み込む。ただ、恒星が白色矮星化したときに惑星の核が残るかに関しては、諸説ある。そこで研究グループは、過去に赤色巨星に飲み込まれた惑星の残滓の探索を計画した。これらの天体が放つ電波をキャッチすれば、惑星の核の存在が確認できる。

■まずは最有力候補となる白色矮星の探索から

 研究グループは、探査の有力候補となる白色矮星について、その周辺に位置する惑星の核が残る可能性と、キャッチした電波の強さに基づいて、探索に着手した。観測には、プエルトリコのアレシボ天文台とウェストバージニア州のグリーンバンク望遠鏡を使用。

 白色矮星と近傍を公転する惑星の核とのあいだの磁場が、単極誘導の役割を果たしているという。そのため電波が放出され、電波望遠鏡によるキャッチが可能になる。

 研究グループはまだ電波をキャッチしていない。しかし単極誘導による効果が、木星とその衛星のイオからも検出されていることや、白色矮星の周りを公転する惑星の存在を確認していることから、これらの天体がもとの惑星系で生き残った残滓であるという仮説を立てている。電波をキャッチできる天体は減少しているものの、こちらも現存すると予想している。

 研究グループによると、生存期間は惑星と恒星間の距離や磁場の強さ等の情報に依存するという。白色矮星と核とが近すぎると潮汐力によって破壊され、遠すぎると検出されない。また磁場が強すぎると白色矮星のなかに核は押し込まれ破壊される。そのため、太陽の半径の3倍から太陽水星間の距離までの範囲内で弱い磁場をもつ白色矮星について、その周辺を公転する惑星を探す必要があるという。

 研究の成果は、英天文学誌「王立天文学会月報」の9月号に掲載予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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