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7月の景況感、8カ月連続で悪化 天候不順や世界経済の低迷 帝国データバンク調査
■8カ月連続悪化で「後退局面入りの可能性」
5日、帝国データバンクが2019年7月の景気動向調査を発表した。7月の景気動向DI(指数)は44.6で、6月の45.1から0.5ポイント悪化した。直近では2018年11月の49.5から8カ月連続で悪化しており、2017年始めの水準になっている。
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人手不足などのコスト増加に加えて、海外経済の低迷に伴う輸出減速や、設備投資の減速、7月前半の天候不順、周辺国との関係悪化などが悪化の要因となり、「後退局面入りの可能性が高まってきた」としている。
■天候不順などで農・林・水産と小売が不振
DIが改善した業種は、金融(7月の景気動向DI:45.1、前月比:0.3ポイント増、以下同じ)、建設(51.7、0.1ポイント増)、その他(44.1、1.5ポイント増)の3業種のみで上げ幅も比較的小さいものに留まっている。またサービス(50.8、0.0)は前月と変わらずだった。
DIが悪化した業種は、農・林・水産(39.1、4.1ポイント減)、不動産(47.4、0.9ポイント減)、製造(41.5、0.5ポイント減)、卸売(41.0、0.4ポイント減)、小売(39.5、2.5ポイント減)、運輸・倉庫(44.5、1.1ポイント減)。
農・林・水産は天候不順、夏場の鶏肉の消費低迷、後継者不足、燃料価格の高騰などにより、4年7カ月ぶりに指数が40割れとなった。小売も2年3カ月ぶりに指数40割れになっており、天候不順、大手企業などの賞与減額、法改正を見据えた携帯端末の買い控え、売り場の人手不足などを原因としている。
■東海や四国で大きく不振
規模別では、大企業(7月の景気動向DI:47.7、前月比:1.0ポイント減、以下同じ)、中小企業(43.9、0.3ポイント減)、小規模企業(43.8、0.3ポイント減)と、いずれも悪化している。3つ全てが悪化となるのは、4月以降4カ月連続となっている。
地域別では、北海道(45.7、0.6ポイント増)、九州(47.6、0.6ポイント増)の2地域が改善、北関東(42.5、0.0)が前月並みだったものの、その他の7地域で悪化した。特に東海(44.7、1.1ポイント減)、四国(43.1、1.7ポイント減)の下げ幅が大きかった。
■今後は不透明感が一層強まる
8月のDI予測は44.4で、7月から0.2ポイント悪化を見込んでいる。その後は9月に44.6と0.2ポイント改善するものの、10月以降は再び悪化に転じ、1年後の2020年7月のDIは40.2と予測している。
オリンピック需要などによる設備投資や公共工事の底堅さと、雇用環境の改善に伴う個人消費の堅調さがあるものの、消費税アップによる個人消費の一時的な落ち込み、世界景気の低迷、イギリスのEU離脱、日韓関係などにも触れて、「不透明感が一層強まっている」と指摘している。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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