アラン・ヒルズ84001 いまだに結論が出ていない火星由来隕石の生命の痕跡

2019年8月7日 07:12

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 1996年8月6日に、NASAは南極で採取された火星由来の隕石の破片から、微小な生命活動が行われた可能性を示す物質が検出されたと発表した。その時から23年になるが、この問題についてはいまだにその信憑性に関する結論が出されていないままになっている。

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 問題の火星由来隕石破片は、アラン・ヒルズ84001と名付けられた存在だが、なぜこれがもともと火星にあった石の破片だとわかったのだろうか?合点のゆかない人も多いことだろう。

 まずは南極で採取される隕石が多い理由について説明しておこう。南極以外の場所に隕石が落下したとしよう。その場合、隕石なのか最初から地球にあった石ころなのか区別するのが非常に難しい。だが、南極であれば氷や雪に地表が覆われているため、隕石と氷や雪は簡単に識別ができる。これが南極で採取される隕石が多い理由である。

 次になぜアラン・ヒルズ84001が火星からやってきたものだとわかった理由について説明する。この破片に含まれる希ガス成分を見ると、地球に存在しないものが含まれていたことに加え、NASAのバイキング計画で得られた火星の大気組成データと希ガス成分の組成が非常によく似ていたことから、火星由来と判断したのである。

 火星の石がなぜ地球にやってこれたのかについても疑問がある。石ころが勝手に火星の引力から脱出して、地球に飛んでくるなどという馬鹿げた話は信じられない。

 火星から石が地球に飛んでくることができた理由は、火星に別の大きな隕石が衝突した際に火星の岩が砕け散って、宇宙空間に飛ばされ、それが太陽の引力によって引き寄せられ、たまたま火星よりも内周をまわる地球の引力に捉えられたからである。

 アラン・ヒルズ84001にはバクテリアの痕跡が見られるとの23年前のNASAからの発表については、たった一つの事例しかないため、信憑性についての検証が困難である。

 火星由来の他の隕石でも複数の痕跡が見つかっていれば、結論は出しやすかったかもしれないが、残念ながら1996年以降あらたな痕跡発見の報告は上がっていない。

 やはり宇宙の神様は火星に生命がいるのかどうか知りたかったら、地球にとどまってたまたま飛んできた隕石破片を調べるのではなく、直接人類が火星に出向いて確かめるべきだと人類をたしなめているのだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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