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昔の車と現在の車 価格から操作性までその違いは
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■昔の車は高価だった
巨人の長嶋終身名誉監督が新人デビューした1958年(昭和33年)、「スバル360」は学卒初任給が1万3,467円の時代に、スタンダードが36万5,000円、デラックスは39万円で登場した。
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こんな簡素なスタンダード車でも、名目賃金の27.1ヵ月分に相当し、2018年の学卒初任給が20万6,700円なので、現在なら約560万円にもなる。
その6年後、日本が飛躍的に発展した1964年東京オリンピックの頃の車両価格を見ると、同年に開通直後の名神高速道路で、10万kmの公開耐久テストを実施した3代目の「コロナ(RT-40)」が登場、1,500cc 4ドアセダン、4灯ヘッドランプのモデルで、価格は64万8,000円だった。
1964年当時の学卒初任給は2万1,200円で、30.57ヵ月分に相当、現在の価格に換算すれば約630万円と、昔の車は非常に高価だった。
モータリゼーションの黎明期で、特に若い男性は、18歳になると競うように免許を取り、助手席に彼女を乗せてのドライブデートを夢見る時代だった。個人で保有する自家用車を「マイ・カー」と呼んで、軽自動車や、800ccクラスのマツダ・ファミリアやダイハツ・コンパーノ、トヨタ・パブリカ、三菱・コルトといった大衆車全盛。「いつかはクラウン」=パブリカ~カローラ~コロナ~MK-IIと上級車に上り詰め、「いつの日かクラウンに乗りたい」との憧れを表した有名なCMがあった。
■昔の車は扱いが難しかった
昔の車は、現在の車に比べて、あらゆる面で取り扱いが難しかった。
マニュアルミッションが普通で、ローギアはシンクロメッシュでは無く、走行中にローギアに落とす場合は、ダブルクラッチなる作業が必要だった。1日の最初に行う「エンジン始動」も、緊張を伴う儀式みたいな感じだった。
殊に冬場は、低温環境でバッテリー性能も低下して居り、神経を使った。始動に何度も失敗すると、プラグが被る(ガソリンが電極に付着して火花が飛ばなくなる)ので、余計に始動が困難になり、最悪は、プラグを1本ずつ抜いて、乾かしてから戻す作業が必要になった。
■最近の車は扱い易い
●エンジン系
現在は、特殊な車以外にキャブレター(気化器)仕様の車は極めて少なくなり、インジェクション(電子燃料噴射システム)になったため、エンジン始動に失敗する事なんぞは考えられなくなった。
旧車を保有する知人のケースでは、「キャブ(キャブレター=気化器)の調子が悪いから点検を~」とディーラーのサービスフロントに云ったら、「キャブって何ですか?」と聞き返されて唖然としたとか。チョークとか言葉すらも知らない人が多いだろう。
●操作系
重かったハンドルもパワーステアリングになり、窓ガラスの上下もパワーウインドウでワンタッチ。ブレーキもドラムブレーキだったものが、構造的には放熱効果が高くフェードが起こりにくいディスクブレーキが当たり前で、踏力もパワーアシスト付きで軽々。
おまけに、急ブレーキ時のロックを防ぐのに神経を使ったが、今はABS=アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Brake System)=フルブレーキングしてもタイヤがロックして滑り始める直前に緩めるシステムが普通となった。
●運転補助系
苦手とする人が多い縦列駐車も、自動でしてくれるシステム搭載車まで出現している。
車線から逸脱すれば知らせてくれ、前方の障害物や飛び出しに対応するシステムや、踏み間違っても飛び出さないシステムと、盛沢山だ。
●変速機系
ミッションもオートマチック(AT)が主流で、マニュアルミッション車は余程のカーマニア以外は選ばなくなり、車種によっては設定さえされていない。昔はマニュアルミッションが普通で、運転初心者は坂道発進の「サイド合わせ」や「クラッチ合わせ」に苦労したものだった。
本当に現在の車は、殆ど何も手間が掛らなくなった。
●こんなに楽になったのに~
これ程までに扱い易くなった現在の車で、AT全盛の昨今でも、スロープを登るタイプの駐車場入り口で、坂の上の車がパーキングチケットを取って入場するまで坂の下で待っていて、後続の車両がはみ出して一般の通行を妨害しても平気な輩も居る。
せめて、前車との間隔は無駄に開けず、坂道途中では左足でブレーキを踏んで停止し、前車が進んだら右足でアクセルを開きながら左足のブレーキを緩めて、後ろに下がらない様に運転して欲しい。
●高齢者のアクセル・ブレーキの踏み間違い防止策
AT車しか乗らないなら、左足はブレーキ、右足はアクセルに決めてしまって運転すれば防げると、昔から云われているが、この際真剣に検討する必要があるだろう。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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