NYの視点:米7月雇用統計、今後の利下げ軌道探る

2019年8月2日 07:46

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記事提供元:フィスコ


*07:46JST NYの視点:米7月雇用統計、今後の利下げ軌道探る
米国労働省はワシントンで2日に最新7月の雇用統計を発表する。市場エコノミストの平均予想は失業率が3.6%。6月3.7%から低下し、ほぼ50年来の低水準を維持すると見られている。また、非農業部門雇用者数は前月比+16.5万人と、6月+22.4万人から伸びの鈍化が予想されている。平均時給は前月比+0.2%、前年比+3.1%と、6月と同水準の伸びが予想されている。

先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いとされている民間の雇用統計となるADP雇用統計の7月分は前月比+15.6万人と、持続可能な水準での伸びが続いた。6月分は+11.2万人と、+10.2万人から上方修正されており、労働省が発表する雇用統計でも順調な雇用の伸びが示唆される可能性が強い。

ただ、製造業の雇用は減速が見込まれる。全米の製造業景況を示すISM製造業景況指数の7月分は予想外に6月分から悪化し、3年ぶり低水準に落ちこんだ。パウエルFRB議長が指摘していた通り、世界経済の鈍化や関税が、米国の製造業にも害を与えている証拠となった。先行きに不透明感が強く、雇用手控えが見られる。ISM製造業雇用は51.7と、活動の拡大と縮小の境目となる50を上回ったものの2016年9月以来で最低となった。パウエル議長はFOMC後の会見で「労働市場は依然強いが、雇用の伸びは減速している」と指摘。

加えて、トランプ政権は9月から残り3000億ドルの中国輸入品に10%追加関税を課すと発表。交渉に進展が見られなければ関税率を25%まで引き上げる可能性も指摘した。製造業に一段の打撃を与えることが懸念される。雇用統計が予想を下回った場合は、年内の追加利下げ観測をさらに強め、さらなるドル売りに繋がる。米10年債利回りはトランプ大統領就任以来の低水準で推移している。

■7月雇用統計の先行指標

・米・7月ADP雇用統計:前月比+15.6万人
(予想:+15.0万人、6月:+11.2万人←+10.2万人)

・ISM製造業雇用:雇用:51.7(6月54.5)

・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):−9.6(6月−3.5、6カ月平均3.6)
週平均就業時間:3.8(6月−2.2、6カ月平均1.6)

6か月先
雇用:14.2(6月15.6、6カ月平均16.7)
週平均就業時間:0.7(6月0.8、6カ月平均6.5)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):+30.0(6月+15.4、6カ月平均+17.1)
週平均就業時間:+23.0(6月+7.3、6か月平均+11.3)

6か月先
雇用:24.9(6月27.0、6か月平均23.8)
週平均就業時間:7.9(6月11.4、6か月平均8.0)


・消費者信頼感指数(%)

雇用現況(%)
十分:46.2(6月44.0、前年42.8)
不十分:41.0(6月40.2、42.4)
困難:12.8(6月15.8、14.8)

6カ月後の予想
雇用
増加:20.5(6月17.5、前年22.6)
減少:11.5(13.9、15.2)
不変:68.0(68.6、62.2)

所得
増加:24.7(6月20.5、20.4)
減少:6.3(7.5、9.4)
不変:69.0(72.0、70.2)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数

07/27/19| 215,000| 8,000| 211,500 |
07/20/19| 207,000| -9,000| 213,250 | 1,699,000
07/13/19| 216,000| 8,000| 218,750 | 1,677,000
07/06/19| 208,000| -14,000| 219,000 | 1,689,000
06/29/19| 222,000| -7,000| 222,500 | 1,728,000
06/22/19| 229,000| 12,000| 221,750 | 1,696,000
06/15/19| 217,000| -5,000| 219,000 | 1,694,000
06/08/19| 222,000| 3,000| 217,750 | 1,666,000
06/01/19| 219,000| 1,000| 215,250 | 1,700,000

■市場予想
失業率:3.6%(6月3.7%)
非農業部門雇用者数:前月比+16.5万人(6月+22.4万人)
民間部門雇用者数:前月比+16.5万人(6月+19.1万人)
平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+3.1%(6月+0.2%、+3.1%)《CS》

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