南米チリのラ・シヤ天文台、創立50周年の日に皆既日食発生の偶然

2019年7月3日 21:39

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ラ・シヤ天文台と皆既日食。(c)ESO/R. Lucchesi

ラ・シヤ天文台と皆既日食。(c)ESO/R. Lucchesi[写真拡大]

 7月2日(現地時間、日本時間では7月3日)、南米チリで皆既日食が見られた。皆既日食は、月の見かけサイズが太陽を上回り覆い隠す現象で、太陽と月と地球が一直線上に並ぶ時にしか起きない。この条件が整う場所と時間は限定され、大きな天文台で皆既日食の観測ができるのは極めて稀で幸運なケースである。

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 チリのラ・シヤ天文台はこの日が創立50周年記念日にあたり、偶然にも月と太陽がそれを祝福する素晴らしい天体ショーが繰り広げられた。ラ・シヤ天文台はヨーロッパ南天天文台(ESO)によって、1969年7月2日に設立された18基の望遠鏡を有する世界でも屈指の施設である。

 ラ・シヤ地域で前回、皆既日食が見られたのは、16世紀の終わりであり、次回見られるチャンスは2331年までやってこない。この奇跡ともいうべき日にラ・シヤ天文台ではチリのセバスティアン・ピニェラ大統領も招かれ、盛大なイベントが繰り広げられた。

 皆既日食がどれだけ偶然が重なった奇跡的な現象なのかは、一般人にはあまり知られていない。その偶然を一つずつあげていくと次のようになる。これらのどれが欠けても皆既日食は見られない。

(1)太陽の直径は月の直径の約400倍である。
(2)地球から太陽までの距離が、地球から月までの距離の約400倍となる。
(3)地球と月と太陽が宇宙空間で一直線上に並ぶ。

 このなかで(1)は太陽と月が誕生した時に決まっていた事実である。(2)は太陽と月と地球の位置関係によって、倍率が400付近で変動する。(3)については、そのような条件が整う時間と場所が非常に限られる。また(2)において、倍率が(1)の倍率を超えれば皆既日食となり、そうでない場合は金環食となる。

 この(1)(2)(3)の条件が整う可能性がある惑星は太陽系では地球しかないが、他の恒星系でもこのような奇跡的現象が見られる惑星を見つけ出すのは、知的生命体を見つけ出すのと同じくらいに難しい。

 なお木星以遠の惑星では、太陽の見かけの大きさが非常に小さく、衛星の見かけの大きさがそれをはるかに上回るため、皆既日食が見られる可能性はあるが、地球のような太陽と衛星の見かけの大きさがほとんど一致する条件にはない。

 地球は皆既日食のような奇跡が起きる宇宙でも数少ない存在だが、知的生命体が誕生することを宇宙の創造主があらかじめ予測しており、粋なプレゼントをしてくれたのではないだろうか?(記事:cedar3・記事一覧を見る

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