株価も「?」を呈する丸亀製麺の曲がり角

2019年7月1日 06:04

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2018年9月より刀との協業を行っており、6月25日にはその成果について共同記者会見も行われた。(画像: トリドールホールディングスの発表資料より)

2018年9月より刀との協業を行っており、6月25日にはその成果について共同記者会見も行われた。(画像: トリドールホールディングスの発表資料より)[写真拡大]

 トリドールホールディングス(以下、トリドールHD)の主軸は、丸亀製麺。前3月期末で国内817+海外575=1678店舗を展開している。そんな丸亀製麺に「暗礁に乗り上げた」「転換期を迎えた」とする指摘がなされている。

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 確かに指摘は、前期決算にも読み取れる。トリドールHDは2018年3月期「14.5%増収、11.4%営業減益」に対し、19年3月期は「31.5%増収(1532億1300万円)、29.2%営業増益(98億6500万円)」と立ち直り計画でスタートしたが、11月14日に「1446億7300万円、47億1000万円」に大幅下方修正。着地は売上高こそ1450億2200万円(24.5%増)も営業利益は「23億200万円(69.8%減)」と一段と厳しいものとなった。

 小売業の好不調を見定める指標に「既存店動向(トリドールHDの場合、開業から19カ月超)」がある。前期の丸亀製麺の既存店売上高は通期で、前年度比97.3%。そして転換期論を唱える向きが「?」を投げかける既存店客数は96.2%(16カ月連続減)。つまり「客離れ」を杞憂しているのである。

 主軸:丸亀製麺は「国産小麦100%」「各店の製麺機使用」「安さ」でその存在感を高めてきた。が、いま「新メニュー(高価格帯ゾーン)商品のウェイト増(実質上の値上げ路線)が客離れの最大の要因」と指摘される。

 トリドールHDは至22年3月期の中計で「売上高2008億300万円(前期比31%増)、営業利益361億6100万円(366%増)」目標を掲げている。そして今期を「8.1%増収、137.3%営業増益」計画で立ち上がった。中計目標達成には、今期の動向が大きなカギを握る。

 気になるのは既存店動向。4月は売上高96.7%/客数99.0%、5月は110.1%/122.6%でスタートした。またユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建者:刀の森岡毅CEOと協力し、復活を目指す方向が打ち出された。近場に店があることから「うどん好き」の私はしばしば訪れる。暫くは推移を、固唾を呑んで見守るしかないが・・・

 「物言う株価」は「不安視」している動きを示している。過去1年余の値動きを追うと昨年6月4日の3305円をピークに、ほぼ右肩下がりの展開。12月25日の1642円で底入れ、今年5月7日の2548円まで戻すも以降再び軟化基調入り。本稿作成時の時価は2000円台入口。アイフィスジャパンが発表している業界アナリストの目標平均株価(IFIS目標平均株価)は、2180円。上値余地は狭い。

 中計では店舗数目標を1469+1046=内外2515店としているが、小売業の経験則に「1000店舗クリアで迎えるのは容易ならざる壁。大きなターニングポイント」がある。トリドールHDの株価に「喉越しの良い」日はいつ訪れるのか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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