6月30日は「アステロイドデー」、小惑星衝突の危機から地球を守るには?

2019年6月27日 11:20

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 6月30日は国連が認定した「アステロイドデー(小惑星の日)」である。毎年この日に小惑星衝突から私たちの惑星・家族・地域社会、そして未来の世代を守るために何が出来るかを学ぶための、世界規模の啓発キャンペーンが展開される。

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 この日がアステロイドデーに指定されたのは、1908年6月30日にロシアのツングースカに質量10万トン、直径100メートル級の小惑星が飛来し、大惨事となったことによる。このとき小惑星は地上から6キロメートル付近の上空で爆発飛散し、半径50キロメートルに及ぶ森林が焼失した。

 関連するイベントはヨーロッパを中心に世界各国で行われるが、中心となるものはルクセンブルクで毎年行われており、その模様はアステロイドデーのホームページで24時間にわたりライブ配信される。

 今年のイベントには、6月24日にはESA(欧州宇宙機関)が参加表明し、2010年にハヤブサが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の分析研究結果などの発表もする予定である。ESAは火星と木星の公転軌道の間に位置するアステロイドベルトに存在する小惑星研究のパイオニアである。

 ESAでは過去20年間にわたり、地球に接近する小惑星(NEO)の分析研究を実施し、落下した際に地球に大きな被害を与えると考えられる10メートル以上のサイズのNEOが、およそ1千万個存在すると見込んでいる。

 ESAは地球に危害を及ぼす可能性のある小惑星を世界中の観測機関に指示を出し、調整や連携をとりながら、いち早く安全を確保する世界的な仕組みの中心的役割を果たしている。

 小惑星衝突の脅威については、あまり日本では関心がもたれていないが、今からおよそ6千万年前に地球に飛来した10キロメートルクラスの小惑星によって、恐竜が絶滅したという説はかなり有力視されており、同様の事件が今起これば、人類滅亡の危機に瀕しかねない。

 幸いにも10キロメートルクラスの規模の小惑星が衝突する確率は1億年に1度で、観測は比較的容易なため、軌道を予測し、襲来に備えることも現代科学で可能になっているが、これだけ大きな天体の軌道をそらすテクノロジーまでは人類は持ち合わせていない。

 そこまで大きくはないが、数百メートルクラスの小惑星の軌道を無人宇宙船を使い、そらせるための試みが2022年にNASAによって計画されている。この計画にはESAも協力する予定で、その最新情報がアステロイドデーでも公開される予定である。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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