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ドライビングの楽しみを語ろう「FR車の魅力」(3) FFスズキ・スイフトで何が悪い!
スズキ・スイフトのプラットフォーム「HEARTECT」(画像: スズキの発表資料より)[写真拡大]
■ハンドリングの違い
旋回性能については、FRのほうが重量配分をしやすく、FFはどうしてもフロントヘビーになりがちだ。そしてFFとFRでは特性が違ってくるのが、ハンドリングだ。
【前回は】ドライビングの楽しみを語ろう「FR車の魅力」(2) 日産・リーフFFの加速力と安全性
FFは、カーブでハンドルを切りアクセルを離すと、「タックイン」と言ってハンドルがさらに切れたように曲がり始める。そしてカーブの出口でアクセルを急激にふかすと、外側に出ていく。FRは、カーブの入り口でクイックに曲がりたいと思ったら、アクセルをふかすと「お尻が滑り」曲がってくれる。つまり、「パワースライド」である。
■スズキ・スイフトで何が悪い!
例えば、FFのスズキ・スイフトでカーブの出口でアクセルをふかしてみる。前輪が駆動して加速しようとするのだが、カーブが膨らんで外に出ていく。なので、そこでアクセルを緩めなければならなくなる。イギリスのミニ(現在BMW・ミニ)と特性が良く似ている。ミニもまた、実用的パッケージングを優先した結果と見ることもできる。
その点、FRのほうが車重も後部にかかり、カーブの出口で加速しても膨らむことはなく、逆に内側に切れ込むので有利なのだ。ドライビングに精通してこうした特性が飲み込めてくると、FRのほうが限界性能を駆使して速く走るには有利であることが分かってくる。しかし現代の車の多くは、限界性能で自動制御が介入してくるため、ほとんど自由にならない。逆に、それだけ安全性が確保されていると言えるのだろう。
■トヨタ・86、スバル・RBZの世界
スポーツカーの多くは、MR(ミッドシップリアエンジン)またはFRだ。それはカーブを曲がる時、エンジン回転を高く保つには有利であることが多く、重量配分を50:50に近づけることも容易だからだ。そこで、スポーツカーの理想的な形態としてはMRとなるのだが、2+2(シートタイプ)など実用的パッケージングを考えるとFRが現実的となる。トヨタ・86やスバル・RBZだ。
MRは重量物が重心に近く、加速時にタイヤがスリップしてしまう限界もRRの次に高く設定でき、RRよりも操作がしやすいとも言えるのだ。急激な180度ターンをしようとした時、スピードをつけてサイドブレーキを使ってきっかけを作るより、低速で侵入してパワースライドでターンするほうが、はるかに安全に操作しやすく立ち上がりが速い。MR・FRはアクセルを開けてパワースライドでターンし、そのまま加速できるからだ。
これがFFだと、急にターンするにはサイドブレーキを引くしかない。この時、一端アクセルを離すしかない。それでもエンジン回転を高く保つには慣れが必要だ。プロなら同じであろうが。
アクセルでハンドリングを調節するのなら、FRのほうが素人向きと言える。日常で限界を超える操作はすべきではないが、FRならば砂利道などで操作に余裕が生まれる。楽しく安全にドライビングしよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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