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含水バイオマスを太陽光で濃縮する技術開発、筑波大
(a)一般的な藻類含水バイオマスの脱水・乾燥工程、(b)太陽光を用いた水蒸発メカニズムと(c)階層構造を持つグラフェン。(画像:筑波大学発表資料より)[写真拡大]
藻類バイオマスは99%以上が水分である。化石エネルギーの代替資源として応用の可能性が広がっているのだが、現段階では、凍結乾燥や遠心分離など電気エネルギーや手間を必要とする方法で、水分を取り除く必要がある。水分を飛ばすだけなら過熱するのが一番早いのだが、それをやると藻類バイオマスの場合細胞が死滅してしまうという問題があるからである。しかし今回、筑波大学の研究グループは、太陽光だけを利用して藻類バイオマスから水分を取り除く方法を開発した。
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太陽光を利用してバイオマスを濃縮する方法を、局所過熱法という。太陽光を熱に変換し、水を対流させずに1カ所で集中させることによりその熱を逃さず、水を蒸発させるというものだ。
太陽光の当たるグラフェンの上部では水が過熱されて蒸発し、バイオマスと接している下部からは毛細管現象によって水のみが上部へと運ばれていく。グラフェンの多孔質構造はナノサイズの穴であるため、藻類が上部に露出することはない。研究グループは、このグラフェン材料の研究開発を行ってきた。
そして今回開発されたグラフェンは、100~300マイクロメートル径のマクロな多孔質構造のグラフェン表面に、100~200ナノメートル径のミクロな多孔質構造のグラフェンを組み合わせたものだ。
このグラフェンは、透過率0%・反射率が5.5%~8.0%という高い光吸収特性があり、太陽光の95%ほどを吸収することができる。また親水性を持ち、水を吸い上げやすい。
今回開発された手法を用いると、高い効率で有用なバイオ資源と、そして純水を製造することができる。今後は企業との連携を進め、技術の実用化を目指すという。
研究の詳細は、Advanced Sustainable Systemsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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