ハーバードで学ぶ弁護士、海賊版ファイルの利用に比較的寛容との調査結果

2019年6月13日 22:08

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記事提供元:スラド

 headless曰く、

 ハーバード大学で法学の修士課程(LL.M)を受講する世界各国計100名以上の弁護士を対象に行われた調査では、海賊版ファイルの利用を倫理的に許容できると答えた人が比較的多かったそうだ(論文TorrentFreakの記事)。

 調査では一般的な海賊版ダウンロード・ストリーミング行為について被験者に17のシナリオを提示し、1(非常に許容できない)~5(非常に許容できる)の5段階で評価させ、うち10のシナリオを5つのカテゴリー(商用での海賊版利用、合法的なアクセス手段がない、合法的な製品の価格が高すぎる、支払いを避けるための海賊版利用、教育目的での海賊版利用)に分けて集計している。

 結果としては合法的なアクセス手段がない、合法的な製品の価格が高すぎる、教育目的での海賊版利用、の3カテゴリで許容度が高く(それぞれ中央値で3.36、3.32、3.28)、商用目的での海賊版利用(中央値1.76)と支払いを避けるための海賊版利用(中央値2.73)で低い。全シナリオでの平均は中央値3.23となっている。

 論文ではオンラインでの著作権侵害行為に対し事前に次のような3つの仮説を立てている。

 H1:弁護士は保守的な倫理観を持っている(許容度が低い)H2:パブリックセクターで働く弁護士は比較的保守的ではない倫理観を持っている(許容度が高い)H3:西洋以外の弁護士および/または開発途上国の弁護士は異なる倫理観を持っている このうち、調査結果に一致したのはH2のみ。パブリックセクター(地方自治体、司法機関、NGO、国際機関、教育機関)で働く弁護士は、比較的職務経験の浅い27歳未満でもオンラインでの著作権侵害行為に対する許容度が高い傾向がみられたという。そのため、職業柄身についたものではなく、もともと許容度の高い人がパブリックセクターの仕事を選んでいることが示唆されている。

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