大相撲夏場所、初優勝の朝乃山 自分を貫いた15日間

2019年5月26日 20:37

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 大相撲夏場所千秋楽、初優勝を決めている朝乃山は御嶽海に寄り切りで敗れ12勝3敗で今場所を終えた。横綱・鶴竜は結びで大関・豪栄道を降し11勝目、昨日、白星を2桁に乗せ大関復帰が決まった関脇・栃ノ心は大関・高安に敗れた。

■力強さを発揮し、初の賜杯

 前日に12勝目を挙げ、鶴竜が敗れたことで初優勝を果たした朝乃山。迎えた千秋楽の土俵は完敗と言って良い内容だった。

 真っすぐ胸で当たった立ち合い。体を起こされながら突っ張りで攻めるも御嶽海の圧力が勝り後退、土俵際まで下がると抱えられて攻め手を失い、そのまま寄り切られた。土俵下では白星で締めくくれなかった悔しさ、自分の形に持ち込むことが出来なかった無念さが表情に表れていた。

 初優勝を手繰り寄せた14日目の豪栄道戦では先に上手を取られたものの、自らも左上手を握り、逆襲で大関を押し返す力強い相撲を披露し、真っ向勝負で上回った。栃ノ心との一番でも一気に前に出て、行司差し違えでの白星を手にした。今場所は自身初となる初日からの5連勝、優勝争いの重圧の中でも動じることは無かった。

 賜杯、さらには3度目となる敢闘賞、殊勲賞も決まり、場所を通して伸び盛りの朝乃山が勢いの良さを如何なく発揮した15日間だった。

■新たな看板力士を目指して

 令和最初の場所の主役を務めあげた25歳は、優勝インタビューにおいて「自分の身体を活かした前に出る相撲を取れたことが良かった」と振り返った。

 横綱との対戦が組まれることなく優勝が決まり、途中、微妙な判定の取り組みもあった。期待の大きかった新大関・貴景勝の途中休場もあり、様々な話題があった夏場所だったが終始、表情や心を乱すことなく、土俵上での集中は途切れなかった。

 史上初となる米大統領杯も受け取った感想を問われると「嬉しかった」と笑顔を見せ、「これで終わりじゃなく、まだ先がある」と今後への意気込みを語り「看板力士になれるよう頑張ります」力強く前を見据えた。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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