エア・ウォーター、歯の再生医療に参入 2年後の事業化目指す

2019年5月10日 16:32

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歯髄幹細胞を用いた再生医療のイメージ図(エア・ウォーターの発表資料より)

歯髄幹細胞を用いた再生医療のイメージ図(エア・ウォーターの発表資料より)[写真拡大]

 産業ガス大手のエア・ウォーター(大阪市中央区)は9日、歯の細胞を使った再生医療事業に参入すると発表した。神戸のポートアイランドに拠点施設を開設。まずは歯の神経の再生医療に取り組み、2021年の事業化を図る。将来的には、象牙質の再生や完全に失われた歯の再生を目指すという。

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 同社が事業化を進めているのは、いわゆる「歯の神経」といわれる歯髄(しずい)に含まれる歯髄幹細胞を培養し、虫歯などで歯髄を失った歯に移植して再生させる治療。歯髄幹細胞には、血管や神経をつくるのに有利な幹細胞が多く含まれている。

 同社は昨年4月から歯髄幹細胞の取り扱いに関する研究を、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)と共同で行っている。さらに研究を進めるため、5月16日には神戸市中央区のポートアイランドに、研究施設「エア・ウォーター国際くらしの医療館・神戸」を開設する。施設内に細胞培養の設備や歯髄再生治療の臨床研究を行う歯科医院を設け、事業化を進める。

 歯科医院の院長には、長寿医療研究センターの元幹細胞再生医療研究部長で歯髄再生研究の第一人者の中島美砂子氏が就任。また歯髄再生事業を企画・推進するために、2018年8月に設立した子会社、アエラスバイオが事業の中心となる。

 実際の治療では、歯科医院や口腔外科などで、親知らずなど不要になった患者本人の歯から歯髄を採取。アエラスバイオが歯髄幹細胞の培養や加工、保存を受託する。培養した細胞は本人の歯の内部に移植し、上から詰め物で歯を修復するという。当初は詰め物での修復になるが、将来的には象牙質の再生技術を確立し、歯全体を元通りに修復することを目指す。

 同社では、2021年の事業開始初年度に約3億円の売り上げを見込んでいる。

 エア・ウォーターは医療用ガスや病院設備工事など医療機関向けビジネスを長年手がけてきたが、2011年に歯科用機器の製造・販売会社を子会社して歯科事業に参入。その後も、歯科診療用品の通信販売会社への資本参加や歯科用材料・機器販売会社との業務提携などで歯科事業を拡大してきた。

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