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鉄道踏切事故防止に躊躇なくAI活用を! 映像解析プラットフォーム「SCORER」は?
映像解析プラットフォーム「SCORER」を活用した「踏切映像転送システム」実証実験のイメージ。(画像: フューチャースタンダードの発表資料より)[写真拡大]
踏切事故が絶えることがない。確かに長期的には減少傾向にある。2016年は前年比5.0%減で229件だ。その内、死者数は前年比7.3%増の103人である。設備等の設置が進んでいるとされるが、踏切内の路面の整備など、当然に出来ることも進んでいないのが現状だ。またAI画像解析を用いるとすれば、適した役割であると見えるが、なかなか進まない。
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AI自動運転は自動車に関しては急速に進んでいるようだが、鉄道が不熱心であるようだ。状況から見れば、鉄道は自動運転に適しているはずだ。イギリスでは導入され始めているようだが、日本では支援システムの導入も進まない。踏切・ホームなどで画像解析により危険を察知することは、自動車の自動運転よりかなり可能性が高いはずだ。
踏切内に障害物があることは、現在の画像解析のレベルであれば判然とできるであろうし、障害物がどのようなもので、何をしているのかも学習するデータは揃えられやすいと考えられる。その結果、電車の自動ブレーキによる減速にも結び付けることが考えられる。自動車の運転支援システムの画像解析、分析、行動よりも精度を上げるのは、条件が少なくてやりやすいと見受けられる。
現在行われているのは、『AI映像解析プラットフォーム「SCORER」』を用いたシステム構築のようだ。これに「教師データ」を用意して踏切の監視に使うことは、大きな進歩となるはずだ。事故のニュースを見るたびに、鉄道各社、道路管理の行政機関に不熱心さを感じて仕方がない。その理由について、AIの学習が万全でないと電車の遅れが頻発するなどの、弊害を恐れているのかもしれない。
それは「緊急ボタン」の乱発のようなもので、ダイヤの乱れも起きることとなろう。しかし人身事故が防げるのであれば、そしてそれもある程度改善しているのなら、安全方向に振った設定で稼働させることが常道だ。最終的に運転手の目視に頼るとしても、事前に画像解析で危険を察知して、電車に警告、減速して現場に差し掛かるだけで人命が救えるかもしれない。
高齢化社会を迎えて、踏切を渡る老人の姿を見かける機会が増えた。杖や車椅子でなくとも、足元がおぼつかない高齢者が増えた。動作も遅い。最終確認を運転車の視野に頼るにしても、事前に障害物があることを知らせて減速することだけでも意味はあろう。「自動車より人が優先」と決められてきたが、現状では「人間より電車が優先」であることは変わらない。これを「人間が優先」と変える勇気が必要だ。
歩道橋を使って買い物カートを引いて上ることを、高齢者に要求しても無理なことだ。若い人でも自転車を押して、歩道橋を上るのは不可能なのに。躊躇することなく、AI自動監視システムの活用を考えてほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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