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大成建設、海外市場の取り組みと重点分野の強化により成長基盤を構築
大成建設は4月5日、超高強度繊維補強コンクリート(以下UFC)を適用し、2002年に竣工した歩道橋「酒田みらい橋」と、2007年に竣工した国内初の軌道桁「東京モノレール軌道桁」において経年調査を行い、UFC使用構造物の優れた耐久性能が健全であることを確認したと発表した。
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UFCは従来の普通コンクリートに比べて高強度、高緻密、高耐久な材料であり、設計耐用期間は100年とされている。大成建設はUFCを使用したインフラ構造物の使用数量では国内1位で世界でもトップレベルを達成している。
大成建設は1873年、大倉喜八郎により大倉組商会として創業、1887年には渋沢栄一、藤田伝三郎と共に有限責任日本土木会社として設立された。その後大倉組との関係で社名変更を繰り返し、1946年に創業者大倉喜八郎の戒名から「衆の長所を集めて一大長所をつくる」として大成建設と改称し、1949年には社員が会社を買い取る社員株主制度が実現、スーパーゼネコン5社の中で初めて非同族会社となった。
オリンピック需要で建設業界が活況の中、働き方改革と生産性向上という課題に取り組み、さらにポスト五輪の不安定な状況に対し中長期的な収益基盤の強化に取り組もうとしている大成建設の動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期実績)と今期見通し
前期受注高は1兆7,435億円(前年比5%増)、売上高は1兆5,855億円(同7%増)、営業利益は前年よりも411億円増で2年連続最高益更新となる1,819億円(同29%増)であった。
営業利益増加の要因としては、売上構成比28%の土木事業で4%の増収により165億円、売上構成比64%の建築事業で手持ち工事の施工が順調に進み9%の増収により243億円、売上構成比8%の開発事業で3億円の増益によるものである。
今期第3四半期(4-12月)は、大型案件が少なく受注高8,959億円(前年同期比28%減)、売上高1兆975億円(同1%増)、営業利益854億円(同26%減)という実績を受けて、今期見通しは受注高1兆6,300億円(前年比7%減)、売上高1兆6,100億円(同2%増)、営業利益1,370億円(同25%減)を見込んでいる。
■中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)による推進戦略
ポスト五輪の不透明な事業環境の中で建設業を核とした成長基盤の構築により、21年3月期には売上高1兆8,700億円(対前期比7%増)、営業利益1,870億円(同3%増)を目指して下記の戦略を推進する。
1.成長が見込まれる海外市場への取り組み本格化
・進出国での事業領域の拡大と深耕。
・インフラ輸出案件、技術活用案件などの重点国での主力事業の深耕。
2.重点分野、差別化技術へ経営資源の重点投入
・エネルギー供給事業への参入などにより、エネルギー事業の強化と土壌浄化技術などによる環境事業の受注拡大。
・民間大型事業や官民連携事業、空港などの公共施設運営事業への参画。
・老朽化大型インフラの大規模更新、修繕の受注拡大。
・大深度掘進、巨大地震対応など高付加価値化につながる技術関連。
・ICTの活用、機械化施行、自動化の推進による生産能力の向上。
3.安全で魅力的な職場づくり
・テレワーク、託児支援など職場環境整備と高年齢者の能力活用推進。
・長時間労働是正と全事業所週休2日制の実現。
・工事着手前からの品質、工程、安全管理の徹底。
ポスト五輪の不透明な事業環境の中成長基盤を構築し、中長期的に「事業規模2兆円」を目指す大成建設の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
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