日向坂46デビュー曲サイマジョ越えの必然

2019年4月5日 16:17

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 日向坂46のデビュー曲『キュン』が、初週売り上げ47.6万枚という驚異的な数字をたたき出し、姉妹グループである欅坂46の『サイレントマジョリティ』が持っていた、女性アーティストデビュー曲の初週最高売り上げ記録を更新した。

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 このニュースは多くのメディアで取り上げられはしたが、デビュー曲とはいえ、3年近く「けやき坂(ひらがなけやき)」として活動経験があり、武道館や横浜アリーナを満員にする実績を持ち、冠番組まであるのだから、坂道グループというブランドの勢いを考えれば、奇跡でもなんでもなく、ある意味必然ともいえる結果だろう。

 センターには2期生で、雑誌Seventeenの専属モデルも務めている小坂菜緒を据え、爽やかな恋の始まりをテーマにしたアップテンポな曲調の曲によるデビューは、これだけの実績があるにも関わらずフレッシュ感があり、特徴的なダンスもあいまって、女子中高生にも広まっているのは大きな特徴といえる。

 坂道シリーズの長年の課題として、AKBの『ヘビーローテーション』や『恋するフォーチュンクッキー』のような、誰でも知っているような代表曲のなさというものがある。

 欅坂の『サイレントマジョリティ』が、一時メガヒットになる兆しもあったのだが、まだそこまでは届かずだったのは、曲のコンセプトがやはり男性向けであったということが大きい。

 大衆受けのいいものというのは、こういう尖ったかっこいい曲よりも、言葉は悪いが、ちょっとダサ目の親しみやすい曲であることが多い。ただ難しいのは、ダサ目の曲をダサい歌手が歌うと、本当にダサくなってしまうことなのだが、日向坂という、あか抜けたルックスに明るいキャラクター、そして見ているだけで幸せになるような仲のいい雰囲気のグループが歌うことで、そのマイナス面を補っておつりがくるような親しみやすい曲になっているのが『キュン』という曲の最大の武器であろう。

 ここまでデビューシングルがヒットしてしまうと、どうしてもセカンドシングルが難しくなりそうなものだが、日向坂にはもう一つ強力な武器がある。

 それは「けやき坂」としての助走期間に、各メンバーの個性や特徴がファンには掴めており、またアルバムを出していることから、スキルに関しても大きな不安は(井口眞緒のダンスぐらいしか)ないということだ。

 早い話が、AKB前田敦子、乃木坂生駒里奈、欅坂平手友梨奈のような、グループのアイコンを作って認知度をあげていく必要性が少なく、誰がセンターになっても、あるいはフロントになっても、「日向坂」として認知されていけるというのは、その自由度において大きなアドバンテージになると思われる。

 歌唱力のある齋藤京子や佐々木美玲がセンターになれば聞かせるバラードも期待できるし、東村芽依を核にしたダンスナンバーも面白そうだ。

 とにかく、引き出しの数が多そうな日向坂の躍進は、まだまだ期待できるのではないだろうか?(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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