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ジャトコの提案 日産・デイズと三菱・eKワゴンは軽専用CVTで室内拡大、軽量化
「Jatco CVT-S(JF021E)」(画像: ジヤトコの発表資料より)[写真拡大]
ジヤトコは28日、軽自動車専用の新型CVT(無段変速機)「CVT-S(JF021E)」を開発したと発表した。新型日産・デイズと三菱・eKワゴンはプラットフォームから新設計されたが、それに伴いパワートレインの小型軽量化を進め、CVTも軽量小型化された。「CVT-S(JF021E)」は従来の「CVT7(JF015E)」に比べ、重量は約6%、4.2kg軽くなった。その結果、エンジンルームは65mm短縮され、ホイールベースは65mm延びた。
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また、低フリクションボールベアリング、プーリー油圧室へのタンデムピストン構造など、各部の構造、油圧配分の最適化などを行い、従来の「CVT7(JF015E)」に比べ約8%のフリクション低減を実現している。
従来の「CVT7(JF015E)」はコンパクトカー用であり、トルク容量150Nmに耐えられる仕様だった。「CVT-S(JF021E)」ではトルク容量を100Nmに落とし、各部品の軽量化を行い、『軽自動車専用CVT「CVT-S(JF021E)」』に仕上げてきたのだ。
まず、「CVT-S(JF021E)」では副変速機を省略した。変速比幅は「CVT7(JF015E)」では7.8あったが、「CVT-S(JF021E)」では6.0へと縮小した。軽自動車では高速道路での使用が限られる上に、買い物など街乗りが一般的使い方となり、現実に140km/h以上で走ることは制限している。そこで発進から高速域までの対応は必要なく、副変速機の搭載は意味がない。これで軽量小型化が進む。
変速比幅6.0は、軽自動車の使われ方としては最適と思われる。このトルク容量ダウンの決断により、変速比を最適化することにもなった。従来型日産・デイズ、三菱・eKワゴンでは、「前進4.007~0.550、後退3.771、最終減速比4.575(NA車)4.283(ターボ車)」であったが、新型日産・デイズ、三菱・eKワゴンでは、「前進2.411~0.404、後退2.295、最終減速比6.540」に統一された。
新型日産・デイズと三菱・eKワゴンでは、静粛性向上も力を注いで来ている。「軽自動車はうるさいもの」と諦めずに、騒音低減に成功している。「CVT-S(JF021E)」ではダブルピニオンタイプの4遊星ギヤ構造で、バックギヤノイズ低減を実現しているそうだ。またパワートレイン全体の剛性を高めるため、エンジンとの連結のボルト数を増やすなどして、振動低減にも努力している。
こうして、「共用部品」化を進めるだけでなく、「専用部品」として仕様を適合させて軽量小型化が出来るのは、ジヤトコなど各メーカー共通のサプライヤーの強みである。よってスズキも、「CVT7(JF015E)」から「CVT-S(JF021E)」に変更していく可能性は高い。サプライヤーの在り方では、系列専任の下請けとしての在り方と、各メーカー共通のサプライヤーとしての在り方との問題点を、考えさせられる。今後も、日本独特の「下請け」と、グローバルなサプライヤー、つまり部品メーカーとしての成り立ちとのせめぎ合いは続くのであろう。ただし軽自動車は、日本独自の規格だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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