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ガソリンエンジンが良い! (5) 軽量化は燃費向上の基本 ハイテン、アルミ、カーボン
■軽量化100kgで燃費1km/L向上する
燃費が向上してかつ実用的であるには、軽量、小排気量のガソリンエンジンで十分な駆動力を得られることが必要だった。「ストイキ燃焼」で進んだ場合、エンジンの熱効率は40%を大きく上回ることは難しい。スーパーリーンバーンが実用化されるとしても、またEVになるにしても、軽量化は省燃費・省電費の最大の武器と言える。
【前回は】ガソリンエンジンが良い! (4) ミッション多段化、CVTの高効率回転域で運転
「軽量化100kgで燃費1km/L向上する」と言われているが、軽量化は走行性能も含めて、自動車の全ての性能を上げる基本と見てよいだろう。最近では、目立たないが「ハイテン(高張力鋼)」の利用が進んでいる。これまで多く使われてきた、いわゆる「生材」と比較すると強度が高く、使う必要がある鉄の重量が少なくて済むのだ。できる限り固い材料を使いたいところで加工が難しかったが、加工方法の開発が進むと共に使用量が多くなってきている。
ホットスタンプ材など加工以前に予熱の必要のある部材は、コストがかさむこととなるため、従来の冷間加工ができる範囲を広めるような製造技術の開発が進められている。また強度の必要がない部位を中心に、アルミ材の使用も増えており、軽量化とコストダウンの方向を一致させる努力が続いている。
自動車の軽量化の実績は確実に表れており、スズキをはじめ軽四輪車では車両重量で1トンを割り込むのは当然となりつつある。さらには全アルミプラットフォームや、BMW・i8やi3のように丸ごとカーボンボディーの開発は急ピッチで進んでおり、スーパーリーンバーンのガソリンエンジン開発と同様の実績をあげつつある。同じボディーの軽量化の方向性でも、構造的な見直しで軽量化を進める方策も進んでおり、部分的にホットスタンプやカーボン補強材を用いる自動車メーカーも増えている。
また同時に、構造を見直してプラットフォームの剛性をあげ、サスペンションセッティングの余力を増やし、正確な走行性能を得る力となっている。さらにはマツダが始めている、プラットフォームの構造に「節目」を作らずに、しなやかな乗り心地を実現する努力も進んでいる。
これらは、EVにとっても「電費の向上」に繋がる。いやEVはバッテリーのエネルギー蓄積率がガソリンに対して極端に希薄で、車両重量の増大を招いているため、車重の軽量化は必須な技術と考えるべきだ。新型日産・リーフe+は航続距離を延ばすために150kgも重くなってしまった。これは「石油採掘から走行まで(Well to Wheel)」の観点から、電費の問題として取り上げると、ガソリンエンジン以上にEVでは解決の必要がある課題だ。
自動車の車両重量の軽量化技術は、CO2排出削減では「縁の下の力持ち」的存在なのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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