【2019秋冬東京 ハイライト4】東京メンズもデコラティブからセンシティブにシフト

2019年3月26日 12:07

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記事提供元:アパレルウェブ

 2019年3月24日、「アマゾン ファッション ウィーク東京2019秋冬」が閉幕した。今シーズンはウィメンズを主軸としてきたブランドがメンズを中心に発表したり、ウィメンズブランドが初のメンズを発表したりと、欧州のファッションウィークでも合同で発表するブランドが増えてきている中で自然な流れであるが、東京ファッションの強みとも言えるメンズにブランドも注力してきているようにも見える。「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」や「ティート トウキョウ(tiit tokyo)」に続き、最終日には「ビューティフルピープル(beautiful people)」もパリでは発表しなかったメンズルックがランウェイに登場した。
ビューティフルピープル(beautiful people)


 「ビューティフルピープル」の東京では5シーズンぶりとなるランウェイショーが、経済産業省が設立した「若手デザイナーズ支援コンソーシアム」の一周年記念イベントとして開催された。「若手デザイナーズ支援コンソーシアム」とは、日本発のトップラグジュアリーブランドの創出を目指し、ファッション関連業界が官民連携で一致団結し、若手デザイナーを支援する取り組みで、現在は20を超えるブランドの支援をしているという。
 「ビューティフルピープル」は、先日パリで発表したウィメンズに加え、メンズも登場した。ただメンズとは言っても、ドレスのようなロングチュニックのレイヤードや、ノーカラーのガウンコートなど、ジェンダーフリーなアイテムが中心となった。ショー後のインタビューでデザイナーの熊切秀典氏は、「パリで2年半やってきて、挫折しそうになりながらも、パタンナー出身という自分の強みを磨いて努力してきた。表面と裏面の間である「サイドC」という表現法は、新たな価値を生み出してくれるものなので、これからもブランドとして追求していきたい」と語った。
「ビューティフルピープル」2019秋冬コレクション
ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)


 マッシュホールディングスの「ミスター・ジェントルマン」は、人工芝を敷きつめたセットで、ガンクラブチェック、乗馬モチーフ、トレンチ、ローゲージの手編み風ニットなどの英国伝統要素を、ミドルフ丈、ドッキング、アシンメトリーなどのリフォーメーションアプローチで表現。同ブランドらしい、遊び心溢れるコレクションだ。
「ミスター・ジェントルマン」2019秋冬コレクション
ハレ(HARE)


 アダストリアのポピュラーブランド「ハレ」は、今シーズンもアマゾンファッションウィーク東京でコレクションを発表。ジェネラルトレンドである、英国調、アウトドア、シンプルでセンシティなテーラリングを、東京のユースに向けて編集した。テーマである“リバース”が表すように、相反する要素のドッキング、インサイドアウトサイド(裏返し)などの手法を使用。シルエットはロングトレンドであるオーバーサイズが中心でありながら、シックなムード漂わせている点が、今シーズンらしい。
「ハレ」2019秋冬コレクション
ミューズ(MUZE)&ピーアールディーエックス パラドックス トーキョー(PRDX PARADOX TOKYO)


(左から)「ミューズ」「ピーアールディーエックス パラドックス トーキョー」
 「ミューズ」と「ピーアールディーエックス パラドックス トーキョー」は2019年3月21日にジョイントショーを開催。マッチョな男女によるパフォーマンスで始まった。「ミューズ」はチェック、ドッキング、レトロ調、ダブルブレストスーツなどのトレンド要素をルード(不良風)に表現した。またフクスケやスカイストーンとのコラボアイテムも発表。モデルには、テリー伊藤氏や俳優の嶋田久作も登場し、ワルっぽさをひき立てた。
 「ピーアールディーエックス パラドックス トーキョー」は、“THROB”をテーマにファッションの本質である肉体にフォーカスをあてた。レトロやスポーツ要素を基調としたミックススタイルを提案。様々なジェンダー、体型のモデルが登場し、ダイバーシティーの訴えを感じさせるコレクションだ。
「ミューズ」2019秋冬コレクション

「ピーアールディーエックス パラドックス トーキョー」2019秋冬コレクション
メアグラーティア(meagratia)


 関根隆文デザイナーが手がける「メアグラーティア」。先シーズン、「アマゾンファッションウィーク東京」で初ショーを行い、注目を浴びた。今シーズンは、東京・並木橋近くのガレージ風スペースでショーを行った。先シーズンと同様に、花をモチーフやアクセサリー、メイクに使用してはいるが、今シーズンは毒気が増した。様々な色で顔を塗られてモデルたちが、ゆらゆらとウォーキング。関根デザイナーが得意とするアメカジやワークアイテムやデザインの他にダークなテーラリングも増え、フラワーモチーフと相まってデカタンスなムードが広がるコレクションであった。
 東京メンズにおいては、ここ数シーズン全盛であったロゴを前面に押し出したデコラティブなストリートは徐々に影を潜め、ジェネラルトレンドであるブリティッシュトラディションやレトロ回帰の流れが出てきている。また、ストリートやカジュアルで表現されてきたオーバーサイズは、ドレッシーでエレガントなオーバーサイズへと移行している。「アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)」や「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」など、ストリートウェアに強みを持つデザイナーたちも、ロゴよりも服の機能美を見せるようになっている。強いロゴやデコレーションが減った分、シンプルな見せ方ではそのディテールが重要になってくるが、そこは日本独自のクラフトマンシップや伝統工芸などが強みを発揮するので、日本ブランドとしては大いに勝機があるだろう。
「メグラーティア」2019秋冬コレクション
 
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取材・文:アパレルウェブ

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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