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オリミ、初のランウェイショーを開催 都市に生きる不完全な人間像を描く
折見健太がデザインする「オリミ(ORIMI)」は、2024年10月10日、東京都港区の青山グランドホテルで2025春夏コレクションを発表した。同ブランドにとって初のランウェイショーとなった今回は、「東京の都市性とそこに潜むいびつさ、疎外感」を表現。東京という都市に存在する抑圧感や社会的なストレスをデザインに反映させ、無機質で冷たいモノトーンの世界観を通じて、都市に生きる不完全な人間像を描くことに挑戦した。
コレクションを象徴するような不安定な音と、苦しげな吐息が会場に流れる中、ショーはトレンチコートを変形させたようなオフショルダーのクロップドジャケットとパンツからスタートした。肩を見せるデザインはオートクチュールのエレガンスを感じさせながら、どこか腹や腰を強調するスタイルはY2Kや、現在のストリートで多く見られる韓国ファッションもほうふつさせる。メンズウェアにエレガンスとボディコンシャスを取り入れることで、逆にアバンギャルドでアンバランスを生み出している。
アシンメトリーなコートやポケットをアクセントにしたミリタリーテイストのブルゾン、メンズのベーシックデザインを解体し、再構築したようにも見える黒のシリーズが続く。ミリタリーやワークウエアのようなポケットを付けたデザインなど、ユーティリティなディテールもあるものの、機能性とは対照的な装飾的なデザインが中心だ。針金で作られた花や鳥の羽を思わせるヘッドピースやヘアメイクが、アバンギャルドでパンクなムードを際立たせている。
その勢いは、黒からグレーのシリーズやカーキに変わっても衰えない。機能性ではなく、アンバランスと不協和音のエネルギーを重視したデザイン。デニムもアシンメトリーで、ヒップにかろうじて引っかかるデザインが男性の体の美しさを強調し、中世的なムード。オートクチュールのエレガンスと、80年代の逆さまの服のアバンギャルドさやストリートの自由さが共存している。
グレー、ブラック、ホワイトを基調とした色使い。メンズの基本的なアイテムやシンプルなスタイルをベースにしているが、ワイヤーを襟に埋め込んだテーラードジャケットなど、アンバランスで浮遊感のあるフォルムが特徴だ。上下逆さでも着用できるトラッカージャケットや、極端に高い位置にカンガルーポケットを配したパーカーなど、人体の形状から離れたユニークなデザイン。過剰なオーバーサイズのカットソーが、ゆったりとしたシルエットで都市の中を漂う感覚を表現していることなどもポイントになっている。
写真:ショーの最後に挨拶をする折見健太デザイナー
東京の都市性とその中で感じる孤独感や疎外感をデザインに反映させながら、2000年代の原宿・渋谷と現在の東京のスタイルを融合した、詩的でノスタルジックなデザイン。エレガンスとアバンギャルド、マスキュリンとフェミニン、ストリートとクチュールといった相反する要素が共存するコレクション。伝統的なオートクチュールのエレガンスと、ストリートの自由な表現を融合させたデザインが印象に残る。
取材・文:樋口真一
Courtesy of ORIMI
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※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。
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