大相撲春場所、逸ノ城13勝目 星1つ差で千秋楽へ

2019年3月23日 21:06

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 大相撲14日目は優勝争いトップの横綱・白鵬が大関・高安を浴びせ倒しで下し全勝を守った。1敗で追う平幕の逸ノ城も関脇・貴景勝からはたき込みで勝利し13勝目。優勝争いは星1つ差で千秋楽に持ち越された。

■逸ノ城が冷静に1敗を守る

 逆転初優勝へ向けて望みをつなぐ13勝目。昨年初場所以来となる2桁白星を挙げ、1敗を守り続けて迎えた14日目の取り組み。対峙するのは関脇・貴景勝。大関獲りを視野に入れる血気盛んな22歳を前に、落ち着きが揺らぐことはなかった。

 先に両の手をつき相手を見つめた立ち合い。共に同時に立ち上がると諸手突きを放つ貴景勝に対し、悠然と構え受ける逸ノ城。貴景勝は胸から首を狙うも、足の送りがみられず得意とする押し相撲での突進力が感じられない。やや前のめりになったところを上背に勝る逸ノ城が右手で覆うようにはたいて関脇を地面に這わせた。一瞬での決着となったが、今場所における両者の勢いの差がはっきりと表れた一番だった。

■平成最後の場所に初優勝なるか

 千秋楽を前に今場所5度目のはたき込みでの勝利。先日の小結・御嶽海戦でも立ち合いでぶつかり、はたき込みのはやい相撲で勝利している。また11日目には巨漢・碧山の激しい突き押しに下がることなく応戦、組みに行くもまわしが掴めないとみるや冷静に攻め手を見極め、はたいて碧山を転がした。

 はやくから「怪物」の異名で呼ばれ、史上1位のデビューから5場所での三役昇進を果たすも、以降は伸び悩む。他を圧倒する体格を活かしきれず、精神面の脆さも目立ち、いつしか出世街道からも外れ、番付も下位に沈んだ。それでも昨年は5場所を勝ち越し三役にも復帰するなど復調の兆しをみせてきた。

 今場所、初優勝を目指す逸ノ城は、過去に弱気の表れとも言われた引きやはたき込みもここまで有効に繰り出せており、白星を重ねている。横綱戦は組まれないものの、2大関に土をつけており文句のない活躍ぶりと言って良いだろう。

 この日、白鵬も大関・高安を降したため星1つ差で追いかける展開は変わらず、賜杯の行方は3場所連続で千秋楽へ。逸ノ城は優勝決定戦に持ち込むことが前提となるものの、「怪物」が春の浪速で一気に解き放たれる期待も膨らんできた。大いに楽しみな平成最後の大一番を迎える。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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