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一考察 広がる代行業への大いなる疑問
2月5日放送のAbemaTV(国内最大級の無料インターネットTV。2016年にサイバーエージェントとテレビ朝日が共同で立ち上げた)で、代行業が広がっているという事実を知った。「世の中変わったな」と思うのと同時に、「代行業がさらに広がっていくと、世の中おかしくならないか」とつくづく考えさせられた。
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記憶に残っている事例をいくつか記す。読者各位はどう思われるだろうか。
★退職願い代行業: 同期に出世で出し抜かれるなどして、退職の意思は前々からあった。が、慢性的人手不足もあり言い出せなかった。言い出そうと何回となく上司に接近したが、「引き留められた時、言葉に窮す自分を想像」し呑み込んでいた。
そんな中で知ったのが「退職願い代行業者」。弁護士資格がないと会社側との交渉・仲介はできない。あくまで本人に代わり「意思」を伝えるだけ。料金は正社員で5万円、契約社員で3万円。登場した代行業者は2年前に起業。いまでは依頼は月約300件に上るという。私が経営者なら代行業者に辞職の意思を代わって伝えてもらうような社員は、こちらから願い下げだ。
★お説教代行業: 作家を目指し続けて、ついには生活費に窮し彼女の部屋に転がり込んでいた30代半ばの男性は「このままではいかん。誰かに、できれば死んだ親父に叱ってもらい自分を見つめなおしたい」と考えた。お説教を代行する業者がいることをSNSで知った。「ご希望は」と聞かれ、わけを話し「60代半ばの男性を」と依頼した。お説教を受けたその日、叱られながら涙が流れたという。その後「せめて自分の食い扶持ぐらいは」とアルバイトを始めたといいうが、私なら「作家を目指し彼女に食わしてもらっていた日々、お説教を受け一歩踏み出した事由」を私小説の題材に作家業に再度一心不乱に励む。
★謝罪代行業: 本当かね、と思った。仕事上の失敗を本人に同行し取引先に対し謝る。部下の失敗を取引先に詫びてもらう。果たしてそんな社員を現場に抱える会社に、先は望めるのだろうか。そしてもっと驚いたのは、不倫相手の夫から呼び出された時に同行しまさに頓首の姿勢で「2度と近づきません」と詫びるのもその代行業の範疇。何をかいわんや、である。だがこの種の代行は増えており、登場した業者によると月に20-30件あるという。
この他「秘めた思いを文章にしたため、自分の代わりに相手先を訪れて手渡してもらう」を仲介する代行業。現代版「恋文横丁」といったところか。SNSでは発信できても面と向かっては話せない。ある種の「現代病(SNS病)」と言っては失礼だろうか。
が、こんな事例も知った。夫と別れた依頼主が「娘にはお父さんが必要だ」とレンタル夫を代行業者に依頼してきた。娘が小学4年生の時だった。以来、機に触れ折に触れてレンタル夫を務めている。「本当の父親と信じ切っている」20歳の折には、成人式に一緒に出かけたという。こうなると言葉を選ばずに言えば、犯罪ではないだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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