大相撲春場所3日目 際立つベテランの存在感 

2019年3月13日 08:43

印刷

 大相撲春場所3日目、両横綱が前日に続きともに白星。鶴竜は押し込まれながら遠藤を降し2勝目。先日34歳を迎えたばかりの白鵬は巨漢・魁聖を寄り倒しで3連勝を飾った。

 この日は、今場所35歳以上の幕内力士3人がそれぞれ若手力士を相手に白星を手にした。ベテランは大きな壁としてその強さを発揮、序盤から春の土俵を掻きまわしている。

■嘉風、輝強を一蹴 松鳳山気迫で初白星

 幕内最年長であり、場所中に37歳を迎える嘉風。この日の相手は新入幕の輝強。立ち合いで頭から突っ込む嘉風に対し、輝強は左に動き、回り込もうとする。しかしすぐに嘉風が体勢を立て直し、互いに向き合うと踏み込みながら左を差して体重を預けていく。最後は土俵際でこらえようとする輝強の右足を抱え、渡し込みで背中をつかせた。小回りを利かせ動き回る若手を落ち着いて捕まえ、2勝目を手にした。

 激しい相撲で初白星を挙げたのは35歳、松鳳山だ。初顔合わせとなる矢後との一番、立ち上がるとともにまずは右の張り手を一発。体格に勝る相手と距離をとりながら、なおも張り続ける。組もうとする矢後をさらに右で張ると体勢を低くし頭をつけた。一呼吸置いた後、身体が離れ両者の押し合いから矢後が引きをみせるとそこに喰らいつき、そのまま押し出した。立ち合いからあふれる気迫を前面に表しながら、且つ冷静に相手の動きを窺い、隙を見逃さずに10歳以上も年下の矢後を仕留めた。今場所の初白星は経験の差を存分に見せつける内容だった。

■琴奨菊は好調3連勝

 そして初日からの連勝をさらに伸ばしたのは元大関の琴奨菊。3年前は自身初の綱取り場所、一昨年は大関陥落直後となるなど因縁の大阪の地、今年はここまで好調を維持している。3日目の相手は同じく連勝中の朝の山。素早い出足で左の前まわしを掴み右四つ。胸を合わせて圧力で前に出ると朝の山は何もできずにずるずると後退。最後は寄り切って一方的な相撲で35歳の琴奨菊に軍配。優勝争いも経験するなど、売り出し中の若手を向こうに回し、得意のがぶり寄りで3連勝。躍動感あふれる動きが光った。

 幕内ではベテランに位置付けられて久しい3力士。それでもこの日のそれぞれの取り組みは今後に期待を抱かせるに充分な内容だった。勢いに乗る若手が席巻する土俵上、負けじと重みのある経験値を武器に、鼻息荒く春場所の中心に立ち、存在感を放ち続けていく。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事