岐阜大など、新種の「超原子核」発見 「MINO event (美濃イベント)」と命名

2019年3月2日 22:03

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記事提供元:スラド

yamajun88曰く、 岐阜大学などの国際研究チームが、ベリリウム原子核を芯とする新種の超原子核 (二重ラムダ核) を発見したと発表した (マイナビニュース素粒子原子核研究所のプレスリリースProgress of Theoretical and Experimental Physics誌掲載論文)。

 この二重ラムダ核はKEKのJ-PARC(大強度陽子加速器施設) で発見され、「MINO event(美濃イベント)」と命名された二重ラムダ核とは、陽子と中性子からできている通常の原子核にラムダ粒子が2つ入った「超原子核」だ。陽子と中性子はアップクォークとダウンクォークの組み合わせだが、ラムダ粒子にはさらにストレンジクォークが含まれている。二重ラムダ核内のラムダ粒子間に働く力を調べることで、クォーク間に働く力を解明する手がかりとなる。

 2001年にヘリウム原子核を芯とする二重ラムダ核「長良イベント」が発見され、ラムダ粒子間に引力が働くことが分かっていた。今回の美濃イベントでも引力であったが、長良イベントと力の強さが異っており、芯となる原子核の違いによってラムダ粒子の結合エネルギーに差があることが判明した。

 美濃イベントは、中性子星やブラックホールという天体現象にも関係している。中性子星の内部には美濃イベントのような二重ラムダ核が高密度で存在すると予想されているが、もしラムダ粒子が存在すると、実際に観測されている中性子星が理論的にはブラックホールになってしまうというパラドックスが存在する (素粒子原子核研究所の活動報告記事)。今回のように超原子核中のラムダ粒子の振る舞いを調べることで、中性子星の内部構造や、中性子星とブラックホールの境目の理解につながるとのことだ。

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