カルロス・ゴーン被告が大鶴弁護士と訣別! 吉と凶、どう転ぶ?

2019年2月21日 09:25

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 18年11月19日に電撃的に逮捕されたカルロス・ゴーン被告は、19日で拘留生活が3カ月になった。逮捕以後、日本で先行した報道による”カルロス・ゴーン叩き”と、フランス国内での受け止め方にはかなりの乖離が感じられたが、その後フランスでも情報精査が進み、新情報が追加報道されているうちに、ゴーン被告に対する見方が大きく変化した。

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 一番大きな変化はルノーが会長職を、ゴーン被告から仏ミシュランのジャンドミニク・スナールCEOへ交代し、ゴーン離れを明確にしたことだろう。当初は日産が公表する情報に懐疑的な姿勢を示していたが、自社の調査でもゴーン被告の結婚披露宴費用にルノーの経費が流用されていた形跡が確認されるなど、マイナスの情報が相次ぐことから潮時と判断したようだ。

 ただ、ルノーの大株主であるフランス政府が将来ゴーン被告の反撃により、思わぬ火の粉を浴びることがないように、解任という強硬手段を避け因果を含めて(内容は不明だが)自主的な退任を装ったことが特徴である。

 ゴーン被告がルノーの会長職退任へと腹を括ったのは、2回目の保釈請求が棄却されたことが大きい。保釈の時期が見通せなくなったことから、ルノー・日産・三菱のアライアンス体制に、ゆるみが出ることを恐れるルノー側の説得工作も激しくなったろう。

 初回の保釈請求時には、日本の司法制度に対する知識に疎く、保釈が当然と思っていたゴーン被告は、保釈後はフランスで生活する希望を語っていた。同時に逮捕された病身のケリー被告が、居住地や移動する場合の様々な制約を甘受してやっと保釈されていたのを、知ってか知らずか、ずいぶん気楽に構えていた。

 2回目の保釈請求時には打って変わって、自分で取り外しのできないGPS発信機を身体に装着する屈辱も受け入れるという、なりふり構わぬ姿勢に転じたが、この時も保釈は実現しなかった。

 13日になって、当初からゴーン被告の弁護人だった大鶴基成弁護士と押久保公人弁護士が辞任した。就任時には検察の特捜部長を務めたキャリアが強調され、「検察の裏と表を知り尽くした」凄腕弁護士という触れ込みだったが、早期の保釈が実現できなかったことにゴーン被告の不満が高じて、実質的な解任だったとの見方もある。

 FNNの報道によると、ゴーン被告は弁護士交代の理由を「無実を明白にするだけでなく、不当な身柄の拘束に至った事情を明らかにする」ためだと語ったという。無罪なのは明白なのに、不当に拘束されているのは「弁護士のせい」だと言っているように聞こえる。

 大鶴基成弁護士と押久保公人弁護士の辞任が、吉と出るか凶と出るか、今後の進展は後任の弘中惇一郎弁護士と河津博史弁護士に委ねられた。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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