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エスペックが「小さな巨人」と称される理由
環境試験器(セクターでは装置事業:総売上高比率80%余)で国内シェア7割、世界シェア3割のアナリストの言葉を借りれば「小さな巨人」のエスペックは、第3四半期の開示と同時に通期の上方修正を行った。期初計画「売上高480憶円、営業利益48億円、純益35億5000万円、8円増配62円配」をそれぞれ「490億円、51億円、38億円、68円配」とした。上方修正はこのタイミングでは、少数派。
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環境試験器とは温度・湿度・圧力・光・振動・電磁波などなど様々な環境を人工的に再現し、電子機器や工業製品などの耐久性・信頼性を確認する上で不可欠な装置。1960年というからいまから60年近く前に環境試験器の開発に乗り出した。その後幾多の実績を積み上げてきているが象徴的な出来事の一つが、経済産業省の「グローバルニッチ企業」に選出された事由(2014年)。そして7年間をかけ小惑星から多くの物質を持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」を記憶の人も多いと思うが、件の探査機でもエスペックの環境試験器が活用され、地球に帰還後に「功労賞」を拝受する1社に選ばれてもいる。
ニッチなリッチ企業は、その歩みを今なお止めようとはしない。シェアアップに必須の「新製品開発」に余念がない。昨年3月には自動車・エレクトロニクス市場向けの主力商品「ハイパワー恒温・恒湿ARシリーズ スタンダード」に4機種を新たに追加発売。また9月には「ハイパワー恒温・恒湿器ARシリーズ」に、国際標準規格IECとドイツ自動車産業界規格に適合した商品を加えたといった具合。またグローバル化にも積極姿勢を示している。進行中の中計では「海外売上高比率50%(今期中間期時点で47・1%)」を掲げているが、強みはいまや日本企業にとっては「鬼門」の感さえする中国での実績。「エスペック広東(生産拠点)」「上海エスペック(生産・販売拠点)」の両輪体制で、顧客の5割を現地(中国)企業が占める状態となっている。
株価はニッチでリッチなエスペックをしっかり反映している。17年3月期の初値で買い保有していると株価上昇率41%強。本稿作成中の時価は2000円トビ台。担当アナリストの予想平均株価(IFIS目標平均株価)は2350円と上振れ余地を示している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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