「ラ・ラ・ランド」の監督×主演が再タッグ!「ファースト・マン」が魅せる宇宙空間のリアリティ

2019年2月13日 21:04

印刷

■「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督の最新作が上映スタート

 2月8日放送の本テレビ系列「金曜ロードショー」で、第89回アカデミー賞で6部門を獲得した「ラ・ラ・ランド」が放送された。各国で上映された当時から「2016年最高の映画のひとつ」と評された作品で、日本でも地上波放送された際はTwitterにトレンド入りするほどの盛況を見せた。

【こちらも】アームストロング息子も絶賛!人類初の月面着陸描く『ファースト・マン』トロント映画祭レポ

 そんな「ラ・ラ・ランド」を大成功に導いたデイミアン・チャゼル監督と、同作品にて主演を務めたライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ映画「ファースト・マン」が、日本でも2019年2月8日から上映がスタート。本作品は人類で初めて月面着陸した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いた作品だ。

■「ファーストマン」のあらすじ

 1961年、まだまだ航空技術が未発達の中、空軍でテストパイロットとして働くニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)。彼には幼い娘・カレンがいたものの、放射線治療を受けるほどの病を患っていた。ニールは賢明に治療法を探すと共に看病を続けたが、その思いが届くことなく逝去してしまう。

 娘がいない現実を受け入れられない中、ニールはNASAが進めるジェミニ計画の宇宙飛行士に志願することに決めた。その計画はソ連が進める宇宙開発に対抗するもので、国の威信をかけて月へ行くことを目標とするものだった。

 民間人だったもののメンバーに選ばれたニールは、宇宙で活動するための訓練と教養を付けることになる。その間だけはカレンがいなくなったことを忘れられたニールだが、危険なミッションの中で次々といなくなる仲間を見ていると、常に自分の中にも「死」という単語がよぎってしまうのだったー。
 

■過酷な現実の中、遂行されたミッションとは

 歴史の授業などでも一度は耳にすることがある「アポロ計画」の事実について描いた「ファースト・マン」。本作品は監督であるデイミアン・チャゼル監督自身も「アポロ計画やアームストロングの知られない姿を描きたかった」という思いがあり、どちらかといえばアポロ計画の栄光よりも陰に焦点が当てられている。

 特に、アポロ計画のときに巻き起こった税金の使い方や任務の危険性に対する批判も本作には盛り込まれており、過去のデイミアン・チャゼル監督にはない批判精神のようなものが見え隠れしている。その中でアームストロングがどのような気持ちで計画に参加し、なぜ月面に向かいたかったのかが描かれている。

 物語の作りと共に、チャゼル独自の音楽の使い方も健在。宇宙空間における「無音」を表現した演出があるが、過去のどのようなSFよりも宇宙を感じられる演出には驚かされる。デイミアン・チャゼル監督の演出を存分に感じられるのは映画館で鑑賞する際の特権なので、興味があればぜひ見ていただきたい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事