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長期の宇宙滞在でナチュラルキラー細胞の機能が低下するという研究結果
国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在することによるナチュラルキラー細胞(NK細胞)の機能低下について、宇宙飛行士の出発前・滞在中・帰還後にわたる調査が行われたそうだ(論文アブストラクト、SlashGearの記事、The Registerの記事)。
調査対象はNASAおよびESA、JAXAのISS長期滞在クルー9名(男8、女1)と、地上の健康な対照群(男7、女1)。8名のクルーは調査時の滞在期間6か月以内、そのうちスペースシャトルやISSのミッションを過去に経験している4名を「ベテラン」と区分し、初飛行の4名は「ルーキー」と区分している。もう1名のクルーの滞在期間は340日で、過去にも計180日間の宇宙滞在経験がある「大ベテラン」だという。名前は挙げられていないが、滞在日数からみてNASAのスコット・ケリー宇宙飛行士のようで、他8名も同時期またはその前後の長期滞在クルーとみられる。
調査では打ち上げ180日前と60日前、打ち上げ90日目と帰還1日前、帰還後0・18・33・66日目の計8回採取した血液サンプルを用いてNK細胞の機能低下を分析している。なお、大ベテランのみ、ISS滞在中の血液サンプルは3回(90・180・340日目)に採取している。過去にも宇宙飛行後の宇宙飛行士を対象とした調査は行われているが、長期滞在中の血液サンプルを使用した調査は初となる。
結果としてはベテラン・ルーキーともに対照群と比較してISS滞在中にNK細胞の機能低下がみられたが、ルーキーの方が低下幅が大きく、地球帰還後に元のレベルに戻るまでの時間が長かったという。ルーキーは初めての宇宙空間でベテランよりも強いストレスを受けたことが機能低下の要因とみられるが、ベテランがルーキーよりも年上である点も考慮が必要とのこと。なお、大ベテランの機能低下幅は小さかったものの、帰還1日前と帰還当日に大きく低下している。1名だけのサンプルで結論付けることはできないが、経験豊富な宇宙飛行士でも1年を超える宇宙滞在ではNK細胞の機能がルーキー並みに低下する可能性もあるという。
火星への有人ミッションなど、長期にわたる宇宙ミッションでは放射線の影響で発がんリスクが高まる。こういった状況下でのNK細胞の機能低下はクルーの健康状態に影響を与え、ミッション失敗のリスクも高まる。そのため、宇宙飛行が及ぼすNK細胞の機能やその他の免疫機能への悪影響についてさらなる研究が必要とのことだ。
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※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
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