大相撲、初優勝の玉鷲 会見で喜び語る

2019年1月28日 16:38

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 大相撲初場所で初優勝を果たした関脇・玉鷲が28日、東京都墨田区の片男波部屋において千秋楽から一夜明けての会見を行った。勝敗にかかわらず表情を殆ど変えることのない土俵上とは違い、満面の笑みをみせて「まだ実感がわかない。信じられない」と優勝の喜びを語った。

■重圧の中での初めての優勝争い

 優勝を星一つ差で争っていた関脇・貴景勝が先に勝利を挙げた14日目の碧山戦が今場所のヤマ場だったという。初の優勝争い、単独トップの座を保ちながら千秋楽を迎える為の重要な白星を手にしている。

 「想像できないほど(頭が)真っ白になった」との言葉通り、立ち合いでは1度、間合いを合わせられない場面がみられた。さらに内容も碧山の圧力に押され上体を起こされている。だが、その直後には攻めをかいくぐり、下から押し返し逆転。

 また、千秋楽の遠藤戦は自身初の優勝が懸かった一番。相手よりやや遅れて立った後、遠藤の当たりを受け止めると左に動いての突き落とし。最後の2日間はそれまでの前へと出る相撲とは異なったものの、重圧に耐えながらの勝利は精神面の強さも伝わってくるものだった。

■波乱の初場所、支えた存在感

 1年ぶりとなる関脇の地位、1横綱3大関破っての堂々たる幕の内最高優勝を果たした。6日目からは10連勝と抜群の安定感を発揮した今場所は、序盤から稀勢の里の引退、白鵬・鶴竜の両横綱や大関・栃ノ心の休場など、淋しい話題の多かった平成最後の初場所だった。終盤は優勝経験のある貴景勝と賜杯を争い、鮮やかに主役として盛り上げた。

 今後、さらに上の地位もみえてきたものの、会見と、そして千秋楽の取り組み後にも「先は考えずに一番、一番。(観ている人を)楽しませたい」と語っている。

 通算連続出場は1151回を数え現役1位。15年前の初土俵から1日の休場もなくコツコツと足跡を残し、34歳で登り詰めた初優勝。力強い相撲とは反対に、発せられる言葉、そして佇まいから滲み出るその謙虚さこそ、玉鷲という力士の強さの最大の要因ではないだろうか。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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