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地球への天体衝突、2億9千万年前に激増か 恐竜と同じ末路を避けるには
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18日、科学誌「サイエンス」に、衝撃的な論文が掲載された。NASAの月探査衛星のデータを用いた研究によると、天体が月に衝突したペース(ひいては、天体が地球に衝突したペース)が、2億9千万年前に激増し、今でもその影響が続いているかもしれないのだ。
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地球は今からおよそ46億年前に誕生したといわれているが、それ以来、他の惑星や天体との衝突を繰り返してきた。今でも隕石が地球に落下するなど、それらの危機を免れているわけではない。
天体が地球に衝突し多大な被害を及ぼしたことは、恐竜の絶滅が物語っている。大きな天体は、大気中で燃え尽きることなく地面に衝突し、鳥を除く全ての恐竜絶滅の原因となったと言われる。これらの影響が現在も続いていた場合、人類は恐竜と同じ末路を迎えかねない。
地球は誕生以来、地盤プレートが活動を続け、浸食などによりその状態はどんどんと風化・変化している。一方、地球と同時期に誕生したといわれている月は、大気がないため、侵食がなくプレート運動もない。よって、地球とほぼ同時期に誕生し、地球の傍らにいる月が、今回の研究対象となった。
今回の研究チームを率いた、加トロント大学の惑星科学者サラ・マズルーイー氏らは、NASAの月探査機「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」を用い、10億年前から現在までの、月のクレーターとその形成された年代を調べた。
論文の共同著者であるトロント大学惑星科学科のレベッカ・ゲント准教授は、LROに搭載している、月面から放射される熱を測定する熱放射計「ディバイナー」のデータと、形成の年代が分かっているクレーターのデータを比較した。
すると、クレーターを覆っている岩石の割合や、岩石が熱を伝える力、クレーターが形成された年代などの間に、きれいな相関が見つかった。
今から2億9千万年前、月に天体が衝突するペースがおよそ7億9千万年前に比べて、2~3倍の割合に増えていたのだ。では月からほど近い地球でも同様のことが確認できたかというと、それは地球の性質上、風化などの観点から確認することが難しい。
だが月と同じく大気のない水星であれば、更なる確信を持てる結果を発見できるかもしれない。欧州宇宙機関(ESA)の水星探査機「ベピコロンボ(BepiColombo)」が、2025年に水星到着予定である。到着後、LROの「ディバイナー」と同様の観測機器を用いて、水星のクレーターの形式年代を研究予定である。
地球に衝突する天体のほとんどは、小惑星帯からはじき出されてきた小惑星だという。小惑星がはじき出されると、若干してから地球に降り注ぐ隕石の数は増加するものの、時間と共に減少する傾向がある。
過去地球に天体が衝突したとき、原因となる小惑星帯からはじき出された小惑星は、たったひとつだったかもしれないし、複数に分裂した状態だったかもしれない。この結果は、水星の研究と地球の研究を同時に進めていくことで解明されるだろう。
恐竜と同じ末路を避けたい人類にとって、衝突ペースの増加を探ることは、とても重要な意味があるといえそうだ。(記事:中川リナ・記事一覧を見る)
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