日産の西川社長グループとゴーン容疑者との、瀬戸際の死闘が始まった! (1) 序章

2019年1月10日 19:11

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 2018年11月19日夜、カリスマ経営者として名高い日産のカルロス・ゴーン会長(当時)が、東京地検特捜部に電撃的に逮捕された。ほとんどの人にとっては全くの想定外であったため、社会にも大きな衝撃を与えた。

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 もちろんどんな人でも、「悪事を働けば罰せられる」原則から逃れることは出来ないが、ゴーン容疑者の容疑を聞いてすんなりと納得できた人は恐らく少ない。逮捕容疑が、およそ50億円に及ぶ役員報酬を過少申告したという疑いだったのである。一般的な感覚から言うと、役員報酬を誤魔化して責められるのは、脱税行為が介在している場合であった。そして高名な経営者が、脱税容疑で有無を言わせずいきなり逮捕された事例はほとんどない。ところが第一報が役員報酬の過少申告だったため、違和感を感じた人が多かったのは当然である。

 日産の社員に大きな当惑が広がったことが、より深刻さを感じさせた。通常、社内の突発事項が事前に社員に周知されることはない。社員といえども社外の人々と同様に、報道に接して初めて事態の発生を知る。その時点で抱く感慨は様々だが、マスコミに問われても率直に本音を開示する組織人はいない。驚愕の思いを表現するか、詳細が不明なので答えられないことを返答するのが普通であり、この夜の報道もそうだった。

 それでなくとも、日産では無資格検査問題を尾を引いているさ中に、排ガスデータの改ざん問題が伝えられ、マスコミの集中砲火を浴びていた。こうした事例が伝えられた際には「どうしてカルロス・ゴーン会長が詫びないのか?」という意見もあった。意見の大勢を形成しなかったのは、ゴーン容疑者が帯びるカリスマ性が、追及の矛先を鈍らせたからだと言える。だから逮捕に喝采を寄せるというよりは、困惑しながら事態を見極めようというスタンスを保つのが精一杯であった。

 11月に逮捕されて以降、長期間の拘留が続くゴーン容疑者は、拘置理由の開示を求める反撃に出た。マスコミを通じて伝えられて来たゴーン容疑者の動静は、カリスマ経営者として畏敬を集めていた頃と変わらず、自信に満ちて自己の信じる所を主張していたようだ。つまり逮捕は不当であり、自分は無実であるということだ。

 8日、ゴーン容疑者は東京地裁の法廷で、為替スワップ取引とハリド・ジュファリへの支払い、及び金融商品取引法違反容疑に関する自己の主張を述べた。内容は(2)以降でお伝えしたい。

※「西川社長グループ」とは西川社長と、司法取引で刑事責任の軽減を受ける人たちをイメージした仮称である。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

続きは: 日産の西川社長グループとゴーン容疑者との、瀬戸際の死闘が始まった! (2) 特別背任

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