太陽光住宅、FIT終了で売電から自家消費用へ 毎年18万戸普及の見込み

2018年11月14日 09:23

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

2019年よりFIT余剰電力買取制度が順次終了。富士経済がFIT対象住宅の現状と太陽光住宅の動向について調査

2019年よりFIT余剰電力買取制度が順次終了。富士経済がFIT対象住宅の現状と太陽光住宅の動向について調査[写真拡大]

 2019年11月からFIT(固定価格買取制度)が終了する太陽光住宅が出始める。FITとは太陽光パネルを設置した住宅で余剰電力が出た場合、政府が決めた固定価格で電力会社に売電できる制度だ。09年11月にスタートした制度であるため19年10月末に制度の適用が終了する住宅が出てくる。経済産業省では来年10月末に終了する住宅は37万件になると見込んでいる。関連メーカーは新たな対応がせまられる。

【こちらも】売電から自家消費か 注目集める設備投資「全量自家消費型太陽光発電」とは

 この2019年FIT終了問題に関連し、富士経済が「オール電化住宅の地域別普及状況調査」の結果を公表している。この調査では太陽光発電システム設置やFIT電力買い取り終了の住宅数を調査している。

 調査結果によれば、太陽光発電システムを設置している住宅の数は18年度に322万戸と推計されており、普及率は6.0%になる。今後は毎年度18万戸程度の導入と横ばい状態で推移すると予測され、30年度には520万戸に達し普及率は9.7%に達すると予測される。富士経済の試算では19年度に買い取りが終了する住宅は56万戸と予測、太陽光発電システムを設置する住宅の16%になる。

 2009年度分は制度開始以前の住宅も含まれ該当住宅が多くなるが、20年度以降は1年分のみであり毎年度20~30万戸、25年度以降は15~20万戸程度が該当すると見込まれ、30年度の終了住宅は242万戸で太陽光発電システム住宅全体の47%と見込まれている。また、12年度に導入された出力10kW以上の全量買い取り制度の買い取り期間は20年間であるため、32年度以降には終了該当住宅が増加する。

 FIT適用の終了によって家庭側では売電による利益がなくなり自家消費専用への転換が進むと予測される。家庭での電気の使用はもっぱら夜間であるためメーカーでは蓄電池の販売を強化する構えだ。太陽光発電機に蓄電池を追加できるパワーコンディショナーに力を入れているメーカーも存在する。

 さらに蓄電池よりもエコキュートの方が設置コストは低く、エコキュートへのシフトが注目されている。太陽電池パネルの耐用年数は20年以上である一方、パワーコンディショナーの耐用年数は10~15年程度であるため、パワーコンディショナーの交換時に蓄電池設置を推薦する事例も増えているようだ。

 EV車の普及も想定し、自家消費の視点から、エネルギーの総合的な管理の提案が各社の努力によって行われ、よりクリーンで低コストのエネルギー消費が行われる社会の到来に期待する。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
NTTグループと日産、「地消費型エネルギー社会」実現に向けたトライアルで協働
売電から自家消費へ? 注目を集める設備投資「全量自家消費型太陽光発電」とは
電力事業者、3年ぶりに増加。風力とバイオで高い伸び。~東京商工リサーチ

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事