AIを使った血液検査で病気やけがの予兆を発見 東工大とアイウェルが共同研究

2018年11月13日 08:13

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 血液検査などの検診データをもとに病気やけがを予防するサービスの実現を目指しているアイウェル(東京都千代田区)は12日、AI(人工知能)を使って血液内のたんぱく質を分析し、健康状態を診断する技術「AIプロテオミクス」の実用化に向けて、東京工業大学(東京都目黒区)と共同研究を開始すると発表した。第一段階として、競走馬の血液を使って病気やけがの予兆を発見する技術の確立を図り、将来的には人間の健康の「見える化」につなげたいとしている。

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 「AIプロテオミクス」は東工大生命理工学院の林宣宏准教授が研究を進めている技術。AIが血液から分離したタンパク質を画像化し、タンパク質の組成・量・状態を網羅的かつ俯瞰的に調べる(プロテオミクス)ことで、病気やけがの診断だけでなく、予兆を把握することも可能になるという。

 同社ではこの技術を使い、定期的に血液検査を行うことで、診断結果を蓄積して健康状態を「見える化」し、病気を発症したり、けがをしたりする一歩手前の「未病」状態を発見するサービスの実現を目指している。

 研究では、東工大が技術の確立と技術の活用を担当し、同社は検体の収集と検査技法の確立を担う。同社は既に検体の採取を行うための採血キットを開発、商品化も行った。

 採血キットは、自分で指先から採血することができ、0.065ミリリットルと、従来の血液検査の約150分の1の血液の量で検査が可能になる。このため、体への負担を大幅に軽減でき、自宅でも簡単に採血ができる。

 同社はこのキットを11月から販売。採取した血液を同社に送付すると、専門機関で30項目の検査を実施してもらえ、検査結果はスマホやパソコンで確認できる。同社はキットをスポーツクラブや健康サービス企業、研究機関など向けに販売する予定で、年間6000セットの売り上げを目標としている。

 また、キットは今後、人を対象とした研究段階に入ったときに、検体採取のために活用するという。

 同社は、今回の研究について「AIプロテオミクスが実用化されれば、病気やけがの予兆をつかむことができる。それによって、『未病』の状態へのアプローチが可能になり、病気やけがの予防にもつながる」などとしている。

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