東京五輪の余波?それとも…コミケ、19年開催は入場が“有料化”に

2018年11月12日 16:29

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 2019年に開催されるコミックマーケット96(夏コミ)・97(冬コミ)の有料化を予定していることを、準備会はサークル向けの小冊子で明らかにした。

 これはコミックマーケットが東京五輪の影響により、通常3日間開催から4日間開催になることにより、有明と青梅にまたがる2つの会場を使用するため。だが今回の有料化により、「コミックマーケットの理念から逸脱するのでは?」や「貧乏人を切る捨てるのか」などの声が上げられている。

■東京五輪の影響で4日開催となる2019年コミケ

 次回の「コミックマーケット95(冬コミ)」は、12月29~31日の3日間で開催されるが、当落の両サークル向けに送られた冊子コミケットアピールにおいて、2019年に開催予定の「コミックマーケット96(夏コミ)・97(冬コミ)」が“有料化”を予定していると発表したことで大きな話題となっている。

 来年の「コミックマーケット96・97」は東京五輪の影響で、東京ビックサイトのほとんどが使用できなくなってしまう。この問題は2年前から大きく取り上げられ、急遽ビックサイト東展示棟の増設、最寄り駅の「国際展示場」から1駅離れた「東京テレポート」近くに青梅展示棟を作るなど対処が施されていた。しかし、2018年8月10~12日の3日間に開催された「コミックマーケット94(夏コミ)」の参加者は、昨年より1万人多い53万人となっており、その数は年々増加の一路を辿っているのだ。

 会場の縮小による企業の広告減や開催日数が伸びたことでの経費増加、さらにビックサイト(国際展示場)から1.5キロ離れた青梅展示場への移動および安全対策のため、コミックマーケット(コミケ)は今まで築いてきた「コミケ理念」をやむなく逸することとなった。

 コミケ参加には、スペース代を払い自主制作品を配布する「サークル参加」と、販売物を購入したりコスプレを披露するなどといった「一般参加」がある。

 サークル参加をするには先ず1,000円の“申込書”を購入し、申込書と共に参加費8,000円を払うのだが、郵便送付であれば切手代で済むものの、Web申込であれば手数料が1,100円と、合計1万円以上かかる。これで受かればまだ良いが、コミケの当選確率は大変狭き門のうえ、人気ジャンルで申し込んだ場合、その競争率は5倍とも言われているのだ。落選した場合、参加費8,000円は払い戻されるのだが、申込用紙や手数料などの諸経費はサークル持ちとなり返金されない。

 一方、コミケでの一般参加だが、当日は早朝から長蛇の列に並ばなくてはならないものの、今までは基本“参加費”を払わないで会場に入れたのだ。

※当選したサークルは入場券で入れる。
※コミケカタログは自主購入(強制ではない)。
※主だった同人イベントの多くは一般参加者も何がしらの参加費を払っている。

 今回の“有料化”発表を受け、SNSなどでは「(今まで無料だったのに)貧乏人はコミケに参加するなということか」や「コミケ理念から逸脱しているのでは?」などの声が上がっている。しかしコミケでは禁止されている一般の「徹夜」待機により、近隣住民からの苦情や迷惑は後を絶たず、警察や消防関係にまで迷惑が及んでいるのだ。今回の「参加費」徴収は、こうした迷惑行為の対策にも一石を投じられるのではないだろうかと、多くの人々から期待が寄せられているのも事実であるようだ。(記事:高塔・記事一覧を見る

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