「こうのとり」でISSに生鮮食品を 地球からの産地直送便届く

2018年10月6日 12:26

印刷

セリーナ・オナン・チャンセラー飛行士と「こうのとり」7号機搭載の生鮮食品。(c) JAXA / NASA

セリーナ・オナン・チャンセラー飛行士と「こうのとり」7号機搭載の生鮮食品。(c) JAXA / NASA[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日、9月23日に打ち上げ、28日に国際宇宙ステーション(ISS)に結合した「こうのとり」7号機によって、日本の国産生鮮食品をISSに搭乗する宇宙飛行士に届けたことを発表した。

【こちらも】「こうのとり」7号、ISSに結合 JAXAが発表

 ISS計画では、これまでも、補給船を保有する国が分担してISSに長期滞在する宇宙飛行士に果物や野菜などの生鮮食品を届けている。

 今回JAXAが宇宙に届けた地球からの産地直送の生鮮食品は、北海道産の『玉ねぎ』、宮城県産『パプリカ』、岡山県産『シャインマスカット』、愛媛県産『温州みかん』、佐賀県産『温州みかん』である。

 JAXAでは、国産生鮮食品を調達し、「こうのとり」でISSに輸送、宇宙飛行士に提供することにより、宇宙飛行士が抱える長期宇宙滞在による様々なストレスを緩和し、パフォーマンスの向上に繋げたいという。また、“食”という身近なテーマを通じてISSや宇宙飛行士の活動を多くの人に身近な存在として認識してもらい、「こうのとり」ならではの国産生鮮食品の輸送により、産地としての日本をアピールすることも目的としている。

 今回の食品の選定方法としては、都道府県農林水産省担当者連絡協議会を通じて全国の都道府県に、生鮮食品に関する情報提供(特産、収穫の時期等)を依頼し、24都道府県から124食品の情報提供があった。JAXAは、提供された情報を元に、調達可能時期と打上げ時期が合うこと、調理性(生食が可能なこと)、保存性(常温で4週間以上の保存が可能なこと)、衛生性(除菌後、一般生菌数が10,000CFU/g以下であること)、安全性(種子を食べる食品でないこと)、食品残さ(喫食後の食品残渣が極力少ないこと)、搭載量の制約等の技術的要件から候補品を複数選定のうえ、味(官能評価)を評価し、選定委員会にて選定を行ったという。

 現在ISSに滞在中のセリーナ・オナン・チャンセラー宇宙飛行士は、日本産の生鮮食品を手にとって、「生鮮食品は私たちクルーの健康や雰囲気を良くしてくれるだけではなく、幸せを感じさせてくれる」と語った。基本的に、『生もの』がないISSで過ごす宇宙飛行士にとって、新鮮な野菜や果物は、地球でかじるとき以上のみずみずしさを感じたのではないだろうか。

 将来、さらなる長期の宇宙滞在や、月や火星などの惑星間移動の際には『生もの』の存在が、宇宙飛行士のメンタル面のサポートも含めて、ミッションの成功への一助になるのかもしれない。

関連キーワード

関連記事