クレハはペット時代の守り神?

2018年10月5日 11:51

印刷

 クレハの我々生活者にとって一番馴染みが深い商品は、クレラップ(1960年発売。日本初の家庭用ラップ)だろう。が、同社が目下展開している事業範囲は広い。クレラップは「樹脂製品事業」のマターだが「化学品事業」分野では医療用医薬品も手掛けている。

【こちらも】戸田建設の浮体式洋上風力発電機に期待したい

 『クレメジン(慢性腎不全用剤:慢性腎不全の患者の消化管内で尿毒症毒素、及び元となる物質を吸着し便として排泄させる)』が代表選手。そして興味深いのは『コバルジン』である。

 周知のようにいまや「ペットブーム」。ペットというと犬・猫が代表格だがペットフード協会の昨年の調査によると、飼育率で「犬は減少傾向にあるが、猫は横這いと根強い」という。「高齢化社会と決して無縁ではあるまい」とする見方が強い。老人層にとって散歩等の負担のない猫は、癒しのかっこうの対象。そこでコバルジンだが、前記のクレメジンと成分が同じペット用「猫用腎不全用剤」なのである。

 またクレハの医薬品事業に対する姿勢にも背中を強く押される。しばしば製薬企業による医学部/教授に対する金銭の提供について「闇の中」批判が聞かれる。だが製薬企業が「安全かつ有効な医薬品」を生み出すためには、医療機関などとの連携が不可欠なのも事実。クレハでは医療機関等に対して行った資金提供などに関する情報を、公開している。具体的には以下の様な仕様で行っている。

(1) 公開の時期・方法: 当該年度の決算終了後適切な時期に、自社のwebサイト等を通じて公開。
(2) 公開の適用範囲: 「日本国内の病院・診療所・介護老人保健施設・薬局」「大学・病院・国公立研究所」「日本に居住する医師・歯科医師・薬剤師・保健師・歯科衛生士・理学療法士・医療機関/広域調剤グループの職員」「日本国内の医療の学術振興に関する学会・研究者・財団法人・NPO法人等」。
(3) 公開対象: 「公的規制のもとで実施されている臨床試験・治験・製販後の臨床試験・副作用や感染症例報告・製販後の調査等費用」―それぞれの年間総額。
(4) 同: 学術研究振興や研究助成を目的とする奨学寄附金・一般寄付金等の年間総額・及び支払先名。

 詳細に定められ、かつ資金提供先との間で「公開」を前提とした取り決めが事前に行われている。評価に値する姿勢といえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事