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スバル、9.28追加調査の結果発表(1) スバルには「自動車メーカーの体裁」はない
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スバルの完成検査不正について、弁護士による追加の調査報告者が公表された。長島・大野・常松法律事務所による調査実施である。
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たしかにこの調査は精密で、その結果、スバルでは「やりたい放題」と言えるほど、「検査にならない行為」が行われている事実が判明した。しかし、事実調査はともかく、法律家が「品質保証体制」について語ることは誤りであろう。つまり、起きたことの「法的意味合いについては専門」、さらに「事実認定については専門」であろうが、「原因・再発防止策」についてはあまりにも素人であろう。法律家なので仕方のないことだ。
昨今「社外の組織が客観的に調査する」ことを評価する向きがあるが、それは間違いだ。品質について、「社内の組織を管理下に置けていない」ことが、「自動車会社の資格がない」ことに等しいのだ。自動車は重要な社会インフラであり、日本国内だけで年間4千人ほどの交通事故死亡者を出していることを見れば、自動車会社の社会的責任は重大なのだ。品質保証体制をとって利益を出せないのであれば、それは「清算すべき企業」であり、存続してはならないだろう。
■スバルには「自動車メーカーの体裁」はない
そもそも自動車製造会社は、「品質保証体制」が整っていることが前提だ。なぜなら、車とはかなりのスピードで走るもので、1年間に日本国内だけでも4千人ほどの死者が出る危険性があるからだ。品質保証体制を整備していても間違いは起きるので、日々「カイゼン」の連続であるのだ。そこで間違いが発見されたのなら、すぐさま原因究明が出来る体制は当然になければならない。
すると、今回スバルが弁護士に依頼した内容は、スバルの組織内ですぐさま検証して発見できることが前提だ。それを丸ごと外部弁護士に依頼することは異常事態で、「自動車メーカーの体裁がない」ことを内外に宣言することに等しい。芸能界、スポーツ界などの「スキャンダル」とは違うのだ。しかし、明るみに出た検査の「手抜き」は常識外で、「走るに直接危険はない」にしても、スバル全車の信頼性は地に落ちている。つまり、この報告書を読むと「スバルのクルマには乗る気が失せる」のだ。
そもそも、自動車メーカーに「品質保証体制」があることを、「スバル経営者が知らなかった」節が見える。経営陣が全く検査組織運用に関わっていないからだ。人員配置や設備投資についてコスト削減を指示していたようだが、「検査の精度」などには全く関心を示していないようだ。「経営者は現場に立て」を思い起こすことだ。このままでは、弁護士などによる単に「規範強化・社員教育」で終わってしまう。スバル経営陣には「人間が品質保証を行うこと」よく分かっていないようだ。企業とは人間の集団なのだ。人間性についての見識が必要だ。「人生観」と言ってもよい見識だ。
次は、品質管理に大切な要件2についてみてみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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