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慶応大発の医療ベンチャーがNEDO事業に採択 心不全の再生医療実現を目指す
慶応義塾大学発のベンチャー企業で、心不全向けの再生医療に取り組んでいるメトセラ(山形県鶴岡市)は18日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」に採択されたと発表した。これにより、最大1億円の助成金を受けることができる。同社は今後も資金調達と人材の確保に努め、再生医療の臨床ステージへの早期移行を目指したいとしている。
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同社は2016年、慶応大学先端生命科学研究所で心臓の再生医療を研究している岩宮貴紘共同代表らが設立。ヒトの臓器に含まれる繊維芽細胞を使った心不全の再生治療に特化して研究を行っている。同細胞の一部には、心筋細胞の増殖や移動を促し、強い心組織の構築を促す力があるとして、同細胞を使った再生医療医薬品を安定的に製造する手法を開発。既にラットやブタを使った試験を行い、心不全を改善する効果も確認したという。これらの成果を受け、同社は17年から筑波大学と基礎研究や臨床応用に関する共同研究を開始し、20年からのヒトでの効果確認開始を目指している。
NEDOの「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」は、中小企業が、自社の持つ技術を研究機関の能力を活用して早期実現化するのを支援する事業。今回は、筑波大学を橋渡し研究機関とし、同大が設立した「つくば臨床医学研究開発機構」の臨床試験・臨床開発の機能を活用する。また、同大附属病院循環器内科と連携し、治療技術の確立や有効性・安全性に関するデータの蓄積を進めることにしている。
心不全は、心臓の機能が低下して十分な量の血液を送り出せなくなる状態を指し、高齢化が進むなか、慢性的な心不全による死亡者が増加している。しかし、心不全には根本的な治療法がなく、心臓移植しか心機能を回復させる方法はないため、低下した心機能を大きく回復させる方法が求められている。同社の技術を実用化すれば、患者本人の細胞を培養し投与することで治療できる可能性があるという。
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