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スカイライン復活には「羊の皮をかぶった狼」が必要 レース仕様と同時に開発すべき
2016年に発売されたスカイライン60周年記念の特別仕様車「スカイライン60th Limited」。(画像: 日産自動車)[写真拡大]
現在の日産・スカイラインはすっかり変わって、大型のフォーマルなセダンだ。これでは私の興味は湧かない。GT-RでなくともR32・GTS-4のようにその血を引く喜びが感じられないからだ。
【前回は】GT-Rを失った「スカイライン」復活は無理? 日本で唯一設計者の名が残るレジェンド
カルロスゴーン体制となったころ、スカイラインはグローバルに売りに出された。それまでは国内専用車で、どちらかと言うと走りの性能のためにサイズを縮小してもモデルチェンジをする車だった。「最初にレース性能ありき」のような設計方針だったのだ。現在のBMWのようにだ。
■GT-Rをスカイラインから切り離すべきではなかった
最近の話で、トヨタはBMWZ4とスープラの共同開発で、BMWはレースバージョンが先にできることを知った。レースバージョンを並行して開発することで、車体寸法が決まり、それから全体のパッケージングが決まるようだ。それで今回は、スープラもレースバージョンが先に発表されているのだ。このことをトヨタが学んだだけでも、十分に成果があったであろう。これからは、容量不足のブレーキなどなくなってくれることを望む。レースを意識した設計方針が、スカイラインGT-Rには不可欠なのだ。
かつて初代スカイライン2000GT-Rが登場したとき、「羊の皮をかぶった狼」の通り4ドアセダンだった。レースに参戦しツーリングカーで50連勝を記録する途中で、2ドアハードトップの2000GT-Rが発売になった。その時2ドアになったので、後席の乗り降りが大変になったのだが、実用性を犠牲にしてもホイルベースを短縮してきた。レースでのタイムを上げるためだ。
現在のデザインを見ると、ダイナミックで気に入る人も多いことだろうが、スカイラインに求められる魅力は何一つとして感じられないのだ。グローバルカーにしてしまったことが、何よりも販売戦略の間違いであったのであろう。そしてGT-Rをスカイラインから切り離し、日産のシンボルとするのは良いのだが、具体的な車種に結び付けないことは販売戦略としても落ち度なのだ。『シンボリックな動きはどんな場合も実際の販売品に結び付けなければ意味がない』ことを知らないのだ。アウトレットモールを作って人を集めることに成功しても、実際の物販に結び付かないことが起こる。それと同じなのだ。
今のスカイラインは、「抜け殻」になっている。現在のBMW・M2のような鋭さを持った「羊の皮をかぶった狼」が、スカイラインを育てたかつてのユーザー世代の中で「スカイラインの実像」なのだ。カルロスゴーン社長は、日本のスカイライン市場を認識できていない。まことに残念なことだが、すでにスカイラインは消えてしまった。いや消えゆくのみなのかもしれない。
やはり、スカイライン復活には、「“スカイライン”GT-R」が必要なのだ。レースの宣伝効果がなくなった現在でも、スカイラインの正体は「羊の皮をかぶった狼」なのだから・・(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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