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東芝、鉄道車両の振動で発電 車両監視用IoTネットワークの電力を賄う
振動発電機の詳細(写真:東芝の発表資料より)[写真拡大]
東芝は5日、振動発電の発電量を従来の2倍に高めた鉄道車両監視向け電磁誘導型振動発電モジュールを開発したと発表した。
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環境発電またはエナジーハーベスティングとは、太陽光や照明の灯、風力、機械・焼却炉・自動車などの発する熱、自動車・鉄道車両・機械が発する振動など、環境エネルギーを採取し、電力を得る技術だ。
太陽光発電や風力発電は既に実用化され、身の周りで多く見かける。普及を後押しするのはエネルギー再生の高効率化によるコスト低減と政府の環境政策だ。他方、熱電発電や振動発電は、太陽光発電や風力発電に比べれば割高であるが、天候に影響されずに一定量の電力が期待できるのが魅力だ。
熱電発電は、ゼーベック素子を利用した温度差発電が主流で一部実用化されている一方、振動発電は圧電素子(ピエゾ素子)を使用するものや、静電誘導を使用するもの、電磁誘導を使用するものと、用途ごとに様々な方式がある。
圧電素子は、力を加えると電圧が発生するピエゾ素子を使用。簡単に電圧が得られる反面、電気抵抗が大きく電流取り出しには不向きだ。また、ピエゾ素子が硬く脆いため、引張や衝撃が少ない環境で使用する。静電誘導は、電荷を蓄えた電極板の移動で電圧を発生。低周波数の振動に適するが、電気抵抗が大きく電流を取り出すには不向きだ。
今回発表の電磁誘導は、コイル中を磁石が動くと電圧が発生する仕組みだ。電気抵抗が小さいため、電流取り出しに有利であるが、大きく振動しないと電圧が出ず、高周波数の振動には不向きだ。
開発技術の詳細は、5日から開催される2018年度精密工学会秋季大会講演会で発表する。また、鉄道総合技術研究所において6日から開催される2018年度技術フォーラムで試作機を展示する。
●電磁誘導型振動発電モジュールの特長
振動発電機の発電密度を高め、振動発電機から効率良く電力を取り出す。発電密度は磁石の配置の工夫で、電力取り出しには新たに整流変圧回路を備えた振動発電モジュールを開発。発電電力を従来の4.0ミリワットから2倍強の8.9ミリワットに高めた。
●振動発電(東芝、電磁誘導型振動発電モジュール)のテクノロジー
今まで以上のサービスや安心安全を提供するために、鉄道車両には様々なIoT機器やセンサーが搭載されていくであろう。そのIoTセンサーネットワークの電力を、鉄道車両の振動で賄う構想だ。
新たな整流変圧回路は、振動発電機から効率的に電力を取り出すことができる最大電力動作点での発電条件に調整可能という。試作した電磁誘導型振動発電モジュールで、鉄道車両走行時台車振動の実測データに基づく走行模擬振動試験を実施。振動発電モジュールの発電電力を2倍にできることを実環境振動下において確認した。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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